“ 関西電力の闇の部分に関する貴重な証言が、朝日新聞の本日7月28日の朝刊一面トップに掲載されました。証言したのは、関西電力元副社長の内藤千百里(ちもり)氏。朝日新聞の取材に対し、延べ69時間にわたって詳細に証言したそうです。千百里氏、91歳のいわば遺言状としての証言です。  この証言は、原発ムラがどのようにして「カネで政治を買う」ことを続けてきたか、の”内部告発”としての意味合いを持つものといえます。  内藤氏は、関電元社長の芦原義重氏の秘書となり、政財界とのパイプ役、つまりは”タニマチ”を30年間

" 関西電力の闇の部分に関する貴重な証言が、朝日新聞の本日7月28日の朝刊一面トップに掲載されました。証言したのは、関西電力元副社長の内藤千百里(ちもり)氏。朝日新聞の取材に対し、延べ69時間にわたって詳細に証言したそうです。千百里氏、91歳のいわば遺言状としての証言です。

 この証言は、原発ムラがどのようにして「カネで政治を買う」ことを続けてきたか、の”内部告発”としての意味合いを持つものといえます。
 内藤氏は、関電元社長の芦原義重氏の秘書となり、政財界とのパイプ役、つまりは”タニマチ”を30年間にわたって務め、電力業界の政治担当役を果たしました。最初は原発建設をスムーズに進めるため、時の政権中枢へさまざまな形で働きかけたのです。それが「原発ムラ」を巨大にさせていく契機となり、電力業界が政治に影響力を持つ源になりました。
 内藤氏が献金したと証言した首相は、田中角栄、三木武夫、福田赳夫、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘、竹下登の7人。このほか自民党有力者にも年2回、盆暮れのあいさつと称して200万~1千万円の現金を運ぶ慣行だった。
 それまでの関電は、映画「黒部の太陽」で知られるように水力発電に力を入れていましたが、その黒部完成の功績から社長の座を射止めた芦原氏は、原発推進に舵を切り、女婿の内藤氏を使って政治工作を進め、時には東電をしのぐ政治力を振るったのでした。
 つまり、アメリカ・ホワイトハウス周辺の「ロビー活動」に匹敵するような役回りを、内藤氏は一手に引き受けていたわけです。このやり方に対する社内批判を抑えるため、内藤流恐怖政治を徹底しました。それに対する反発から最後は「関電2・26事件」という芦原・内藤両氏を解任するクーデターで失脚しました。
 それはさておき、アメリカがロビー活動によって「カネで政治を買う」ことがおおっぴらに行われているのに対し、日本では闇献金により「カネで政治を買う」という”政治とカネ”問題が続いています。とりわけ、総括原価方式により献金源資をも電力料金に上乗せできる電力業界は、潤沢な政治献金を武器に隠然たる政治力を現在もふるい続けています。
 朝日新聞によると、歴代の首相側は、いずれも「初耳」であるとか、「わかりかねる」などとコメント。
 取材は昨年12月から今年7月まで69時間にも及んだが、最初警戒していた内藤氏が徐々に詳細を話すようになった。おそらく内藤氏自身は「自分がやったことは、日本のためになる。しかし、墓場まで持っていく話だ」と思っていたはずです。
 ところが、詳細を証言する気になったのは、「このままでは日本がおかしくなる。私がやってきたことを話しておくことは、どう受け取るかは皆さんの判断や」と語り、後世に役に立つと思ったようです。

 聞き取り歴史の第一人者とされる御厨(みくりや)貴・東大客員教授は「衝撃の告白だ。これほど痛烈な自己批判は過去にない。歴史をこの国の記録として残そうとする勇気ある行為だ」とコメントしています。"