“ 埼玉県のある団地に、4年ほど前に営業を終了した酒屋がある。この店主は、店を閉じる時に取引先の卸業者から「免許は返上しない方がいい」とささやかれた。  店主は当時、それが意味することを正確には理解できなかったようだが、後になって、その言葉の意味を知る。「その免許を目的に、会社を譲り受けたいという企業がある」との連絡があったからだ。  その企業とは、もちろん、アマゾンのことである。この商店主の会社は、2012年12月に商号を「Amazon FB Japan」に変更している。それと同時に社長に就いたのは

埼玉県のある団地に、4年ほど前に営業を終了した酒屋がある。この店主は、店を閉じる時に取引先の卸業者から「免許は返上しない方がいい」とささやかれた。
 店主は当時、それが意味することを正確には理解できなかったようだが、後になって、その言葉の意味を知る。「その免許を目的に、会社を譲り受けたいという企業がある」との連絡があったからだ。
 その企業とは、もちろん、アマゾンのことである。この商店主の会社は、2012年12月に商号を「Amazon FB Japan」に変更している。それと同時に社長に就いたのは、アマゾンジャパン社長でもあるジャスパー・チャン氏だ。
すべてができる、「レア免許」
 商店主は閉店まで30年以上、酒屋を経営していた。免許は商売を始めた頃に取得したもので、正確には分からないが少なくとも昭和年代であることは間違いない。
 実は平成元年6月より前に取得された免許には、先ほど触れた「一般」や「通販」の区別がない。つまり、それ以前の免許を保有している者は、店頭でも通信販売でも、合法的にすべての酒類を売ることができる。むろんビール類もだ。
 こうした実質的に「無制限」の免許を新たに取得することは、現行ではできない。もし今から、大手のビールなども含めて酒類を全国に通信販売したいのならば、アマゾンのように古い免許の取得者を探し、それを活用するしかない。