そもそも日本は戦前まで、夫婦ともに農業で共働きだったわけです。「女性は家に入って育児に専念」なんて考えは、高度経済成長期以降にたった30年くらい続いただけの、非伝統的な家族のあり方でしょう。戦前までは農業人口が過半数で、長らくの間、産んで1カ月もすると床上げして田畑に出かけ、替わって子供は祖父母が育てた。孫を10人とか集めて育てるわけです。親と子供が1対1で相対すると、親が過ちを犯すと取り返しがつかなくなる。でも孫が10人くらいいて、年長の子供はそれなりの発言力もあり、そこに余裕のある年長者たる爺婆がにらみをきかす。これなら今の保育園と同じように危険も分散するし、そこには社会や組織を疑似的に学ぶ機会もありました。女性を家に押し込め、母親と濃い関係で1対1で育児を行うことが正しい、という前提で「育休3年」を持ち出すことに、私はやっぱり抵抗を覚えてしまうんですよ。