若年者の飲酒傾向に関する酔いも覚めるようなデータ Sobering Data About Young People’s Attitudes Toward Alcohol 社会や親の飲酒に対する厳しい姿勢が若年成人における飲酒およびアルコール関連問題が減少させる。 最近報告された以下の2件の研究は、政策および親の姿勢が若年者のアルコール使用に与える影響を検討したものである。 Huckleらはニュージーランド・オークランドにおいて酒類規制が緩和されていた11年間#に年1回の電話聞き取り調査を実施した(#

若年者の飲酒傾向に関する酔いも覚めるようなデータ
Sobering Data About Young People's Attitudes Toward Alcohol
社会や親の飲酒に対する厳しい姿勢が若年成人における飲酒およびアルコール関連問題が減少させる。
最近報告された以下の2件の研究は、政策および親の姿勢が若年者のアルコール使用に与える影響を検討したものである。
Huckleらはニュージーランド・オークランドにおいて酒類規制が緩和されていた11年間#に年1回の電話聞き取り調査を実施した(#法的に飲酒可能な年齢の引き下げ、酒類販売免許に必要な要件の緩和、雑貨店でのワイン販売許可、マスメディア上の酒類広告許可、若者に人気のあるアルコポップ[訳注:果汁やフレーバーを含む比較的度数の低いアルコール飲料]の輸入増加につながる関税設定などが実施された)。14~19歳の男女では調査の開始時(ベースライン)から終了時にかけてもっとも大きな変化がみられ、飲酒機会1回あたりの飲酒量が増加し、アルコール関連問題(その場から追い出される、けんか、二日酔いなど)を経験した人の割合が上昇した。
Abarらは大学2年生585例を対象に飲酒行動および親とのコミュニケーションについて、各学期に詳細調査を1回行い、その後簡易調査を14日間毎日繰り返し実施した。参加者の平均年齢は20歳で98%が自宅外居住者であった。参加者の59%は調査日の前週末に1杯以上飲酒しており、46%は週末1日以上に多量飲酒したと回答していた(飲酒した週末1日あたりの平均飲酒量は6.53杯)。大多数の学生は親と定期的に連絡をとっていた。親から飲酒についていかなるメッセージも受けていない学生に比べ、親が飲酒に全面的に反対している場合、学生の飲酒量は43%と少なく、逆に親が節度を守って気をつけて飲酒することを勧めている場合(すなわち、ハームリダクション[訳注:安全な方法の飲酒を促し、2次的な健康被害や犯罪などのリスクを抑制する])、学生の飲酒量は154%と多かった。
コメント
これらの研究は、社会や親が飲酒に対してより厳しい姿勢で臨むと、若年成人における飲酒量が減少し、アルコール関連問題の頻度が低下することを示唆している。今回の結果は、人々を保護するうえで、社会が果たす役割における政治的・哲学的な問題を提起している。このような問題にかかわらず、親が自分の子どもに飲酒について否定的な考え方を伝えることで、自宅外居住の学生であっても飲酒量が減少する。組織・機関によるハームリダクションの強調は有用と思われるが、親が同じメッセージを伝えると飲酒量が増えるようである。社会の姿勢はたやすく変わらないと考えられるが、親はこれらの事実を知りたいと思うであろう。