人間の生きるという仕事の代替物が用意されている
食欲や性欲の次元でも既に代替物は用意されている
自然そのものを相手にして何か仕事をするという形式は崩れて
何か他の達成でも充分になっている、その代表が金融業だろう
栄養を補給するということと食事を摂るということは分離されてゆく
子供を作って育てるということと性欲や接触欲や愛情対象への欲求は分離されてゆく
どんどん「元の意味」から離れてゆく
しかしそこに新しさがあり人々の心を引き付ける
しかも新しい流行は昔の方法よりもずっと安易なのだ
成長しなくてもいいし成熟しなくてもいいのだ
働くということの中に含まれていたたっぷりとした果汁が、いまはもう枯れている
愛するということの何にたくさん含まれていた生きることも意味ももう枯れている
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かつて性欲と呼んでいたものは
いまでは良い欲の周辺に多様に存在する欲望・欲求を総称し、
しかも、もとの性欲ではないのだ
その意味で人間は少しずつ進化しているのである
進化のフロントはDNAではなく脳である
ここでの両者の対立抗争は熾烈である
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性欲という原初的な欲動に対して、
いろいろな処理の仕方、満足の仕方が提案される
それが資本主義社会であるし、民主主義社会である