“ ある標高を過ぎると、人がかつて順応できた試しのない領域に至る。これがデス・ゾーン(Death Zone)。世界に14ヶ所しかない死の領域だ。 標高8000mから上に1歩でも足を踏み入れると、そこから先はどれだけ訓練を積んだところで体調を整えたところで48時間が限界で、それを超えると命の保証はない。デス・ゾーンの酸素濃度は海抜ゼロ地点のわずか3分の1。平たく言うと、呼吸で補填できるより速く体中に貯めた酸素を体が使いきってしまうのだ。 [snip] 酸欠と不安定な足場。エベレストのチャレンジはそれだ

ある標高を過ぎると、人がかつて順応できた試しのない領域に至る。これがデス・ゾーン(Death Zone)。世界に14ヶ所しかない死の領域だ。
標高8000mから上に1歩でも足を踏み入れると、そこから先はどれだけ訓練を積んだところで体調を整えたところで48時間が限界で、それを超えると命の保証はない。デス・ゾーンの酸素濃度は海抜ゼロ地点のわずか3分の1。平たく言うと、呼吸で補填できるより速く体中に貯めた酸素を体が使いきってしまうのだ。
酸欠と不安定な足場。エベレストのチャレンジはそれだけに留まらない。絶好のコンディションの平均-27℃、風速時速80kmとなる5月から6月にかけての非常に短いシーズン以外はどっちみち登る物好きも滅多にいないが、エベレストはあまりにも高いため山の頂が実は成層圏に突入しており、ジェット気流という強風が最大時速322kmという凄まじい勢いで吹きつけ、ひどい時には-73℃まで気温を押し下げることもあるのだ。
これだけの海抜で地肌を空気に晒せば、体調がベストの時でさえ、凍傷にやられてしまう。普通の血液循環のままでは危険なスピードで体温の低下を招くので、そうならぬよう、極度の低温に体が反応し、体の芯の温度を保つため皮下血管が萎縮する。そこで凍傷が始まる。
外気に晒した肌は温めてやらないと血の巡りがないため徐々に組織が死んでゆき、後で温めてやっても壊疽が残る。この段階まで行くと普通は切断だ。
エベレストのデス・ゾーンにある野ざらしの墓場 : ギズモード・ジャパン
環境が厳しすぎて微生物も生きていけないので、遺体が腐ることもないらしい。
「岳」「神々の山嶺」の世界だ。