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昨晩、母から電話があり、お盆の帰省などについて、とりとめのない話をしたあと、ふと気になっていたカネボウの件について尋ねてみた。
僕自身、いわゆる食品偽装事件が起きた当時のミスドにバイトで在籍しており、そのニュースが流れた日の1日の店舗売上が5000円程度しかなかった現実を非常に強く記憶しているので、今回のカネボウの事件では、カネボウの商品が一切売れなくなるのでは?と思ったのが第一印象。
母はいわゆる化粧品専門店に勤務しており、化粧品業界はあまり他人事とは思えず、何となく気になっていたので、電話ついでに尋ねてみたのだ。
驚きの回答。クレームなし。
母からの回答は僕の予想とは全く異なるものだった。
僕の予想では、膨大なクレーム対応はもちろんのこと、カネボウの商品が一切売れない、また最悪の場合、お客さんの減少により、他のメーカーにも少なからず影響を与えてもおかしくないと思っていたのだが、母の勤務する店舗では、クレームは発生せず、既に問題は収束し、売上についても特に悪影響はない結果となっているらしい。
これ如何に。
これ如何にと思って、詳細を尋ねてみると、その理由はこうだという。
まず、事件が発覚した当初、カネボウの従業員は当然ながらどうしようと動顛していたのだが、母はこういうときこそ、お客さんからの信頼を勝ち取るチャンスだと言い、お客様よりも自分達が先に動いて、誠心誠意ある対応を取って名誉挽回するのだと鼓舞したらしい。
その後、専門店の特色を活かして、カネボウの商品を購入した顧客全てとコンタクトを取り、お客さんが購入した商品が回収対象であるか、それとも安全であるかをきっちりと説明して回ったらしい。
お客さんと密接に関わる専門店だからできる方法で、ひとりひとり誠心誠意ある姿勢で対応をした結果、クレームを告げた顧客は一名もなく、既にこの問題は終息したというのが現在の状況だということだった。
むしろ今回の出来事で、お客さんとの交流が再び活性化することとなり、店舗として逆に調子は上向きだという話で、僕は心底驚きつつとても感心した。
信頼の積み重ね。
ピンチはチャンスと言うけれども、言うは易しで行なうは難し、行動の結果が鬼とでるか蛇と出るかは、本当に結果論でしかないけれど、このエピソードを聞いて思ったのは、顧客との信頼について、もっともっと真剣に考えなければならないなということでした。
当たり前のことを当たり前にすることは難しく、その上で、当たり前に良いと思った行い堅実に実行するのが大事なのかなと肝に命じました。
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