"そしてそのケインズ理論は、1970年代以降の先進国の経験で反証された。特に悲惨な失敗は、100兆円以上ばらまいて財政赤字だけを残した90年代の日本の財政政策だ。実証研究でも、90年代のバラマキ公共事業は人的資源を非効率的な建設業に集め、日本経済の生産性をかえって下げた、という結論が出ている。
ところがアメリカでも、バラマキが復活の兆しをみせている。バーナンキも、議会証言で財政政策を支持した。他国の金融政策はボロクソにけなした彼も、大統領選挙の年にバラマキに反対する根性はないのだろう。その「成果」が、ファニーとフレディの救済だ。こういう中途半端なbailoutは、日本の経験から断言してもいいが、絶対に失敗する。国有化は避けられない。
このようにバラマキ財政政策は経済を悪化させるという命題は、経済学の結論としては珍しいぐらい、ほぼ100%実証されている。麻生氏がその通説に挑戦するほどの学識をお持ちなら結構なことだが、経済学者のアドバイザーがいるようにもみえない。つまり彼は、30年ぐらい前の「床屋経済学」をまだ信じている(あるいはもともと経済学を知らない)のだろう。こんな人物が次期首相の最有力候補なんだから、日本経済は当分、立ち直れそうにない。"