“ なのでユニークな授業をたくさんやるわけです。受験勉強は勝手に自分たちでやれっていう校風なので、そういうことができるわけですが、そういうユニークな授業をたくさん受けて東大に入ってきた子と、地方の進学校で、かつて問題になった単位未履修で世界史さえ勉強しないで東大に来る子たちとで、特に女子の学生に多いんですが、文字通りカルチャーショックを受けて不登校になってしまう大学生が増えているんですね。そこまでひどくなくても、僕は大学院でこの話必ずするんですが、そうすると授業終わりの質問表に、「私もそうでした」って書く

なのでユニークな授業をたくさんやるわけです。受験勉強は勝手に自分たちでやれっていう校風なので、そういうことができるわけですが、そういうユニークな授業をたくさん受けて東大に入ってきた子と、地方の進学校で、かつて問題になった単位未履修で世界史さえ勉強しないで東大に来る子たちとで、特に女子の学生に多いんですが、文字通りカルチャーショックを受けて不登校になってしまう大学生が増えているんですね。そこまでひどくなくても、僕は大学院でこの話必ずするんですが、そうすると授業終わりの質問表に、「私もそうでした」って書く女子の大学院生が必ず数人います。もう宇宙人がしゃべっているようだったと。
今の東京の御三家と呼ばれる、桜蔭とか双葉の子たちっていうのは家がお金持ちっていうこともあってですね、コンテンポラリーダンスは見るわ、コンテンポラリーアートは見るわ、夏休みにはニュージーランドに2ヶ月ぐらい行ってるわで、ファッションセンスもいいと。18歳の女の子にとってはそれはショックですよね。地方出身で勉強だけやっとけば九大でも東大でも行けるからがんばれと言われ続けてきて。この科目とこの科目だけやれって先生に言われ続けてきてですね、頑張って東大まできたのに、まったく話が通じない。周りの人と。
昔はですね、逆転のチャンスがあったんです。三四郎の時代なら。熊本から出てって図書館に一生懸命通って、勉強して公務員試験に受かれば地方出身者にも逆転のチャンスはあったんですが、今は企業もセンスのいいやつから取りますからね。だって大企業の上場企業の8割がコミュニケーション能力を第一に考えるって言ってるんですから。コミュニケーション教育を受けられない地方の人はどうするんですか、せっかく東大に入ったのに。これは2、3年前にアエラが特集を組みましたし、最近も週刊現代かどこかが、「東大までの学生、東大からの学生」って8ページぐらいの特集を組みました。要するにエリート層であってもこういった地域の学力差ではなくて、文化的な差によって最終的に人生におおきな格差ができてしまう時代にきているんです。
だとすれば、地域の教育機関、あるいはこういった文化施設がこれをキャッチアップできるような政策を盛り込んでいかないと、地方はどんどん衰退していってしまう。スパイラル状に文化によって地方が衰えていってしまう。東京一極集中がとめどなく進んでいってしまう。ぜひそれを避けるために、地域、地方ほどですね、こういったコミュニケーション教育を進めていっていただきたい。