“ 「でもさ、誰にもない自分だけに固有の価値なんてものを持ってるのは、それこそ尾田栄一郎ぐらいだよ。あのくらいの才能がないと、絶対にグーンと行かない。この20~30年の義務教育で“みんなには個性がある”という教え方をしてきたらしいんで。僕を含め、固有の能力のあるヤツなんてほとんどいないんです。でも“ある”と思ってるヤツが若い年代にはいっぱいいる。一番耳の痛い言い方をしましょうか。テレビ関係者向けに言うと、たかが番組のコーナーの取材者でしかないヤツをみんな“ディレクター”って言ってる。あれはレポーターです。

「でもさ、誰にもない自分だけに固有の価値なんてものを持ってるのは、それこそ尾田栄一郎ぐらいだよ。あのくらいの才能がないと、絶対にグーンと行かない。この20~30年の義務教育で“みんなには個性がある”という教え方をしてきたらしいんで。僕を含め、固有の能力のあるヤツなんてほとんどいないんです。でも“ある”と思ってるヤツが若い年代にはいっぱいいる。一番耳の痛い言い方をしましょうか。テレビ関係者向けに言うと、たかが番組のコーナーの取材者でしかないヤツをみんな“ディレクター”って言ってる。あれはレポーターです。デジタルの方の“ディレクター”はオペレーターだよね」
テレビとデジタルだけの話ではない。みんなそう。何もないのにあるように思い込まされているだけなのだと、富野さんは言う。
「だから、大事なことなんだけど、まず、自分が凡庸な能力しか持ってないということを覚悟しろと。社会と世間とに紛れ込んで自分自身のポジションを獲得していく方法しかない。ほとんどの人は成功しない“普通の人”なんです。ここにしかいられない自分がどうするか。我を出すということが一番いいわけでは必ずしもない。協調性だけを守っていけばいいのか、それはそれでのたれ死にするだけ。そういう状況を把握したうえで、階段を上っていく。言っておきますけど、25歳から上の世界って、気持ちのいいことなんてほとんどないですよ。じゃあどうするかというと、そこでいかにガマンして右と左のヤツをつぶすか。そういう気概がないとネクストはない」