衰へたる末の世とはいへど、なほ、九重(ここのえ)の神さびたる有様こそ、世づかず、めでたきものなれ。 朝廷の権威が衰えた末法の武士の世とは言っても、今なお、幾重もの門に囲まれた宮中の神々しい様子は素晴らしいものである。 ーーー いろいろ賛美している。兼好の寄って立つ基盤なのだろう。 しかし賛美の中身としては、ありがたいとか、重々しくて好ましいとか、 めったにないとか、昔から変わらないとか、大して根拠はない
衰へたる末の世とはいへど、なほ、九重(ここのえ)の神さびたる有様こそ、世づかず、めでたきものなれ。朝廷の権威が衰えた末法の武士の世とは言っても、今なお、幾重もの門に囲まれた宮中の神々しい様子は素晴らしいものである。ーーーいろいろ賛美している...