うつ病の内容として憂うつ、悲しい、興味が無い、喜びがない、
また身体症状として分かりやすいものでは
睡眠障害、食欲変化 、頭痛などの身体の痛み
などがあげられる
大伴家持のような「もの悲しさ」もあるし
「意欲が出ない」でぴったりする場合もある
イライラ、不安、焦燥、などの表現がぴったりする場合もある
「おちこんでいる」とか「がっかり」とかで
なんとか表現しようとする場合もある
観察としては「眼に精彩がない」とか「生き生きとした心がない」とか言われる場合もある
怒られたからやる気がでないとか
意地悪されたから会社に行きたくないとか
そんなことも最近では「わたしはうつだ」と表現している
要するにこれでは意味が広すぎる
これらをまとめてスペクトラムと考えるか
そうではなくて
意味が拡散していて混乱しているだけなのか考え直す必要がある
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いろいろな整理が提案されているのだが、ここで少し整理してみると
1.純粋うつ病
制止、興味喪失、喜び喪失などを主徴とするうつ病だけを繰り返し、精神病レベルである
個人的には私はこれがどのようにして発生するのかよく分からない
そして個人的には私は観察にも乏しい
うつ病と言うほどではない、軽症うつ病が長い間続くものを
ディスチミア(気分変調症)と呼んでいるが
純粋うつ病との違いは、軽症うつ病であること、神経症レベルであることである
(この点については、神経症性うつ病をディスチミアと全般性不安障害とに分離した時、
神経症レベルはGADに分類し、ディスチミアはやはり内因性の精神病レベルのものだろうという議論はある。
たしかにそうかもしれない。ディスチミアの持続性というか頑なさはやはり多少内因性ではないかと思われる点がある。)
2.躁うつ病
躁状態の後の疲弊性のうつ状態、これがひとまとまりで
反復すると考えているが
うつ病から始まるサイクルがあるのか疑問がある
たいていはこれだと思うが
稀に、
躁状態のあとに1.の純粋うつ病と同等の病態を呈する場合があり、
それこそ本当の躁うつ病だろう
しかしそれほど多く観察されないと思う
3.統合失調症後うつ病
これは躁状態の後のうつ状態と同じメカニズムである
シュナイダーの観察もこの部分だろうと思う
2.と3.は興奮の後の疲弊性うつ状態としてまとめることができる
興奮が被害妄想になれば統合失調症、
興奮が誇大妄想になればそううつ病ということになる
2.と3.は遺伝的に近縁であり、同一家系にも発生する
それらと1.は別の遺伝的グループらしい
4.反応性うつ病
失恋や肉親との死別や仕事の失敗、破産などに伴うこころの悲しみ、憂うつ、無念、愁い、恨み、などの延長として了解できるもの。
1.2.3.については了解不可能でただ説明だけが可能である。
精神病性うつ病が制止、興味喪失、喜び喪失を主とするのに対して、
反応性の病態は悲しみや憂鬱が主である。
反応性のうつは、集団の中で、共感可能な悲しみや憂うつに囚われている個体には
共感が寄せられ、生存確率が高くなるから存在するのだろうと考えられる。
周囲の共感を期待しない場合には反応性うつは成立しにくいだろう。
また周囲の共感を期待するのが本質ならば、それを疾病利得といってもよいのだろう。
したがって疾病利得を期待して、無意識の層で神経症が成立する。
5.自己愛性うつ、境界型うつなど
性格の病理に伴ううつ状態。これをもうつ状態と分類するのかどうかは問題がある。
倍率の低い顕微鏡で見ればどれも同じ。倍率を高くすればそれぞれを区別できそうである。
また、経過を観察して、時間の軸を導入すれば、区別しやすくなるだろう。
6.その他、産後うつとか更年期うつとかいろいろに分類ができる。
また甲状腺機能の変動によりうつ病類似の状態が見られる。
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あれこれあるのだが
要するに積極的な定義ができないので混乱しているだけだと思う
それは違いますと明確な考えをもって言う人がいないので
私はうつ病ですという人を誰も説得できない
いったん完成した脳に発生するのが躁うつ病、うつ病、統合失調症という立場が古典的であるが
DSMをとりあえず当てはめれば、子供の病気としても定義はできる
しかしそのことにあまり意味があるとも思えない