“結論から言うと、「想像力によるトレーニング」は可能で、身体の力を想像力だけで鍛えることは可能であるというものである。これは、筋肉自体が鍛えられるのではなく、脳から筋肉に送られる信号が強くなるせいである。
米国の生物医学研究者 Vinoth Ranganathan たちは、2004年にある実験に関する論文を発表した。
この実験では、まず、被験者をA、Bの2グループに分ける。グループは、似ているがそれぞれ違う訓練をする。訓練はいずれも手の小指を外に動かす動作である。Aグループは、実際に手をテーブルに置き、小指だけを外側に動かす。
それに対して、Bグループは頭で思うだけである。小指を動かさずに、動かしていることを頭の中で想像するのである。
訓練は、週5日、毎日15分、12週間続けられた。そして、両グループの小指の力を測定した。
実際に動かすことを訓練したAグループは小指の力が53%強くなった。一方、動かさずに思うだけのグループも35%強くなっていた。驚きの結果である。
想像だけでも力が強くなったのである。小指が使われたのは、普段あまり使わないから、訓練の結果が出やすいためである。
想像だけでも力が強くなったのは、思うことによって、脳から小指に行く神経の信号が強くなったためであることが判明した。思うだけで脳の活動が強化され、そこから発せられて小指に行く信号は強くなる。
強い信号は、強い動きを生じさせる。小指の筋肉自体は強くなっていないが、信号が強くなるだけでも力を強める効果はあるのである。
勿論、実際に動かしたAグループの小指は筋肉も強くなっている分、Bグループよりも強くなっている。”