【ロンドン・ロイター=共同】米疾病対策センター(CDC)の科学者を中心とする国際研究チームは30日、世界各国で抗生物質が効きにくい多剤耐性結核の感染がこれまで考えられていた以上に増えていることを突き止め、同日発売の医学雑誌ランセットに発表した。
2010年の結核感染者数は世界全体で880万人に上り、そのうち140万人が死亡した。
結核治療には第1選択薬としてイソニアジドとリファンピシンの2種の抗生物質が使われているが、最近は、このいずれも効かない多剤耐性結核(MDR-TB)や、補助的に使われる第2選択薬も効かない超多剤耐性結核(XDR-TB)が出現。このため結核の死亡率上昇と感染拡大の原因となっている。
国際研究チームはエストニア、ラトビア、ペルー、フィリピン、ロシア、南アフリカ、韓国、タイの8カ国について結核感染の調査を実施、その結果、多剤耐性結核患者の約44%は第2選択薬とされてる抗生物質の少なくとも1種について効果がないことが判明したという。
世界保健機構(WHO)は2015年までに世界中で200万人が多剤耐性結核に感染する恐れがあると警告している。