「都心で中国人観光客の『爆買い』を取り込むことに成功しているヨドバシカメラやビックカメラとは対照的に、ヤマダは郊外・地方を中心に成長してきたため、人口減少などで消費力が落ちている地方経済低迷のダメージをもろに受けています」
ヤマダに限らず家電量販店では、客が店頭で品定めをして、最終的に値段の安いネットの店で買い物をするという新しい消費行動に頭を悩ませている。高い賃料や人件費を払っても量販店はただのショールームに過ぎず、一銭も入らない—このような買い物のしかたは「ショールーミング」と呼ばれている。ネットを通じた物流に詳しいイー・ロジット代表取締役の角井亮一氏が語る。
「以前は量販店を回って安い店を探したものですが、今は『カカクコム』のように値段が一覧で比較できるサイトもあり、安く買いたいならインターネットでという考え方が定着してきました。しかもアマゾンのような大手サイトは、自社開発の専門のソフトを使って戦略的商品の選定を行っており、『この商品はダントツ1位の安さにする』『この商品は高くてもかまわない』と巧みに値付けをしており、必ずしも安い買い物をしなくても、消費者は『ネット通販は便利だ』と感じるようになってきています」
この波は飲食業にまで広がっており、今まで宅配営業に無関心だった企業も、ネット通販に乗り出している。スターバックスがいい例で、同社のハワード・シュルツ会長は「すべての飲食業はデリバリーを検討しないと生き残れない」と語っている。
アメリカのアマゾンは都市部や近郊に小型の物流センターを設置して、生鮮食品なども扱うアマゾン・フレッシュを始めています。もはやネット通販で買えないもののほうが少ないくらいです