“ 山本 体力という話で言うと、いまの年寄りの体力はものすごいよ。 中川 年寄りって何歳くらいの人のこと? 山本 70代。そしてあの連中の本を読む体力がすごいわけ。しかも読解力もある。「山本さんがこの前に『中央公論』に書いてた原稿は、途中から話がダレた」とか痛いところをついてくるわけ。面倒くさいけどすごい。 漆原 思い当たるフシがある、と(笑)。 山本 「うるせえよ!」と思うけど、悔しいことに彼らはきちんと読んでいる。大量に読んできた人たちの力は偉大で、あれこそがリテラシーと言っていい。 漆原 

山本 体力という話で言うと、いまの年寄りの体力はものすごいよ。
中川 年寄りって何歳くらいの人のこと?
山本 70代。そしてあの連中の本を読む体力がすごいわけ。しかも読解力もある。「山本さんがこの前に『中央公論』に書いてた原稿は、途中から話がダレた」とか痛いところをついてくるわけ。面倒くさいけどすごい。
漆原 思い当たるフシがある、と(笑)。
山本 「うるせえよ!」と思うけど、悔しいことに彼らはきちんと読んでいる。大量に読んできた人たちの力は偉大で、あれこそがリテラシーと言っていい。
漆原 月刊『文藝春秋』の定期購読者も60〜70代が多い。担当者に聞いたけど、1ヵ月かけて頭から巻末まで、すべてにきっちり目を通すという読者がたくさんいるという。
山本 しかも彼らは書店から図書館まであらゆる手段を使って読んでいる。そろいもそろって「会社をリタイアし、本を読むようになってからようやく人間のなんたるかに気づきました」とか言ってるわけ。
中川 うーん。「学ぶ必要も社会に還元するつもりもないけど、時間もカネも持ってるやつがさらに勉強している」ということですよね。それって「知のムダ」なんじゃないですか?
山本 「なんで本読んでるの?」って聞いたら「安らかに死ぬために」って言ってた。
140字じゃ説明できないものを読む体力