米国神経学会(AAN)は4月8日、中年期にコンピュータを使っていた高齢者は4年後の軽度認知障害(MCI)の発症が約5割抑制できる可能性を示した研究結果を紹介した。Neurology誌(オンライン版)に掲載。  本研究は、開始時に記憶思考問題のなかった高齢者256人(平均年齢87歳)を対象に4年間追跡。芸術、工芸、社交的活動、コンピュータの利用などのMIC発症への影響を調べた。追跡期間中に、約半数の121人にMCIが発症した。MCI発症リスクをみると、諸活動に従事していない群に比べ、芸術活動を趣味に持つ

 米国神経学会(AAN)は4月8日、中年期にコンピュータを使っていた高齢者は4年後の軽度認知障害(MCI)の発症が約5割抑制できる可能性を示した研究結果を紹介した。Neurology誌(オンライン版)に掲載。
 本研究は、開始時に記憶思考問題のなかった高齢者256人(平均年齢87歳)を対象に4年間追跡。芸術、工芸、社交的活動、コンピュータの利用などのMIC発症への影響を調べた。追跡期間中に、約半数の121人にMCIが発症した。MCI発症リスクをみると、諸活動に従事していない群に比べ、芸術活動を趣味に持つ群では73%低かった。また、工芸が趣味の群では45%、社交的に活動する群55%、コンピュータ利用者53%と発症リスクが低かった。一方、APOE遺伝子保有、中年の高血圧などのリスク因子、うつ、血管関連リスク因子があると、MCI発症リスクが高いことが分かった。
 この結果を受けて研究者は「何かに熱中することは、ニューロンの保護や新たなニューロンの成長促進により、高齢での認知機能の維持を可能にすることを裏付けている。生活をどう変えれば問題を回避できるかに着目することが重要」と述べている。