秀才がいた。 役人になった。 対人関係をうまくやれば出世できると分かったが対人関係をうまくやるのはくだらないと思った。 それよりも自分は秀才である、役人の仕事などよりも、詩文で後世100年、1000年残るものを作り、 人の心のあり方を変えようと思った。 人類の図書館に有意義な一冊を加えたいと願ったのである。 役人をやめて詩作に集中したが、思ったような成果は得られなかった。 世間は彼を認めなかった。 世間に認められるには役人としても出世できるような資質が必要なのであって 役人として出世できないような人は詩

秀才がいた。
役人になった。
対人関係をうまくやれば出世できると分かったが対人関係をうまくやるのはくだらないと思った。
それよりも自分は秀才である、役人の仕事などよりも、詩文で後世100年、1000年残るものを作り、
人の心のあり方を変えようと思った。
人類の図書館に有意義な一冊を加えたいと願ったのである。

役人をやめて詩作に集中したが、思ったような成果は得られなかった。
世間は彼を認めなかった。
世間に認められるには役人としても出世できるような資質が必要なのであって
役人として出世できないような人は詩文家としても出世できないと
どうして秀才の彼が知らなかったのだろうか。
それが心理的メカニズムで言う否認である。
見たくないものは見えないのである。

世間が好きなのは現代のベートーベンであり、STAP細胞の夢であり、
それらが資本と権力の後押しを受けて売りだされるとき
世間はその価値を認めるのである。