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長い間、「歩道通行可」、自転車は歩道を通行してよいという意識が日本の自転車乗りの頭の中には染みついているのだろうと思います。私どもの子供のころは、自転車は車道を走り左側を走るもの、つまり「車両」であると教わり、学校でも教わってきたのですね。ところが、モータリゼーションが進行していく過程の中で、車と自転車の事故というようなものが起きてきて、やはり車優先の考え方が背景にあって基本的に車道は車の走るところという観念が強くなっていった。それで、自転車に乗る人を守るために「歩道通行可」ということにしたのだと思います。そこで、自転車に乗る人たちは「自分たちはどこをどういう方向を向いて走るのか」という意識が基本的になくなってしまったというのが今までの日本の自転車に関する交通規制の現状だろうと思います。
そうしますと、車両であるから左側を走るのが、歩道を走ると自分は歩行者のような感覚になって右側通行だと思う。つまり、どちら側を通行するかという意識のない自転車乗りが非常に増えているわけです。そうすると、我々が左側を走っているときに逆走してくる人にまま出会うことになる。車を運転されれば、車は左側を走るものですから対向車が来たときにどちら側に避けるかということは感覚的に、肌の感覚としてルールができていると思います。多くの自転車乗りは、対向車が出てきたときにどちらに切るのが正しいのか感覚がないのです。自分が右側通行だと思っていれば避ける方向は右の方に切りますね。ところが、左側通行だと思っている人は左側に切るわけですよね。そうすると、車道で対面したときにお互い同じ方向に避けるということになる。こんな怖いことは実はないのです。ですから、もう一回自転車に乗る人たちが自分たちの道路における通行の基本は何かというのを徹底しなければならない状況になっていると思います。もちろん、そういうルールの尊重やルールを作るということだけで問題が解決するわけではありません。自転車の走行する道路がより走りやすい形になっているか、危険ではないかどうかというようなものも大事なことですし、それから小さいお子さんが車道を走るということが可能かどうかといえば、それはなかなかそうではない状況もたくさんありますね。そういう状況なのです。
それからもう一つ必要なのは、自転車が車道を走ることが原則だとすれば、車の運転手のなかには「大体自転車がちょろちょろ走っているから走りにくくてけしからん」と思っている人も、私はたくさんいるように思います。ですから、「道路は皆のためにある」、ちょっと横文字を使えば「シェア・ザ・ロード」という考え方が自動車のドライバーにもなければいけない。もちろん、サイクリストも当然、車と一緒になって車道を使うのだから、例えば車があって、信号などで車がずっと連なっていると左側をばっとすり抜けていくような自転車乗りというのがたくさんいるのですが、やはり車と一緒に走るときに、道路を共有するときにどういう振る舞いを自分たちがしたらいいかどうか。すみません、どうも自転車の話だからついついご質問を機に長々と答弁いたしました。
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