“分かりにくい値上げ手法で有名なのは、「値段はそのままで内容量を減らす」という手法でしょう。
例えば、100g100円を、90g100円にするみたいな手法ですね。
ただ、総務省が発表する「消費者物価指数」は内容量の変化も考慮するので、それも把握できるはずでした。
しかし、最近の値上げはもっと巧妙です。
最近の値上げの主流は「新商品への切り替え」です。
例えば、100円の「○○アイス」という商品を販売中止し、代わりに「○○アイス プレミアム」を120円で売り出すみたいな手法です。
この「新商品への切り替え」は非常に巧妙でして、「いかに売上を落とさずに値上げするか」という企業の知恵の結晶といえるでしょう。
皆さんも、こんな宣伝文句を目にしたことがあるでしょう。
「新商品は、○○産の特別な原材料をつかっています!」
「新商品は、××が△%アップ!」
これは何を伝えたいかというと、「価格はあがるけど、それは高級商品になったためで、単なる値上げじゃないよ!」と言いたいのです。
いかに企業が「消費者に納得して高い金を払ってもらえるか」に知恵を絞っているかが分かりますね。
そう言われると、たとえ値段があがっていても、あまり損した気分にならないから不思議です。
しかし、冷静に考えますと、やっぱり単なる値上げでしょうね。
なぜなら、安い従来品は姿を消し、高い新商品を買うしかなくなっているからです。
この「新商品への切り替え」による値上げは、総務省の「消費者物価指数」では把握できません。
消費者物価指数は、あくまで同じ商品の価格や内容量の変動を追うだけであり、新商品に切り替わった場合まで比較しないからです。
しかし、比較しないから調査結果にでないだけで、こういう値上げがあるのは事実です。
だから総務省の「消費者物価指数」と日銀の「生活意識に関するアンケート調査」で違う結果がでているのです。
この違いの差を埋めるのに期待されているのが「SRI一橋単価指数」です。
詳しい説明は割愛しますが、隠れ値上げもある程度は把握できる指数だそうです。
この指数によれば、昨年度のインフレ率は1.5%程度そうですので、インフレ政策は確実に効いているという結論になります。
今後、この指数を使えば、総務省の「消費者物価指数」よりは、生活実感に沿った正しい分析ができるかもしれません。
ただ、SRI一橋単価指数を採用すれば、日本の実質GDP成長率に残念なお知らせです。
実質GDP成長率は、名目GDP成長率からインフレ率を除いて計算しますので、2014年の実質GDP成長率は1.6%の成長と言われています。
しかし、SRI一橋単価指数のインフレ率1.5%で計算しますと、なんと2014年の実質GDP成長率はゼロになってしまうのです。
よくよく考えれば、2014年は消費税の増税分だけ消費が冷え込んだ年であり、そりゃ当然というものでしょう。”