“  1997年、グリコは数週間をかけてお菓子の消費者800人の生活実態調査をやりました。そこから分かったのは、お菓子を食べる場所として「職場」が意外と大きかった、ということ。これをきっかけにして、グリコは真剣にオフィス向け新規事業の検討を開始しました。  いろいろなアイデアを、すぐさま実際に現場で試すのがグリコ流。まず試したのは「ヤクルト方式」のオフィス訪問販売でした。すぐさま担当者が課長と2人で、お菓子入りのかごを抱えての飛び込み営業を試みます。  でも、数日で断念しました。午前中には売れませんし

 1997年、グリコは数週間をかけてお菓子の消費者800人の生活実態調査をやりました。そこから分かったのは、お菓子を食べる場所として「職場」が意外と大きかった、ということ。これをきっかけにして、グリコは真剣にオフィス向け新規事業の検討を開始しました。
 いろいろなアイデアを、すぐさま実際に現場で試すのがグリコ流。まず試したのは「ヤクルト方式」のオフィス訪問販売でした。すぐさま担当者が課長と2人で、お菓子入りのかごを抱えての飛び込み営業を試みます。
 でも、数日で断念しました。午前中には売れませんし、販売時間も制限されます。お菓子好きも、さすがに職場で販売員からお菓子を買うのは、上司の目も気になるらしい、と分かりました。
 すぐに次のアイデアを試します。据え置きのボックスに入れて自由に買ってもらう「富山の薬売り方式」です。これはなかなかの手応えでした。
 ならばと99年2月からは大阪市北区限定で、拠点をつくってのテストマーケティングです。事業化して採算に乗せるために、3年かけていろいろなことを試しました。多くの発見が、ありました。
・女性中心でなく男性客が7割。品揃えもそれに合わせる
・お菓子はみな新商品好きなので3回の訪問で全部入れ替える
・代金は会社を通さず直接、箱入れで回収。回収率は97%
・売上の単品管理を行わず、個数のみを管理して手間を省く
 これも「誰」「価値」「コスト」の常識破壊でした。2002年から本格展開を始めたオフィスグリコ事業は、今や年間売上高約40億円にまで成長し、多くの販売員を雇用する事業となっています。