所得格差、地域格差、世代格差、男女格差、人種格差、
こうした現実にある格差は政治問題であるが、
現状では
平等はチャンスの平等ということで理解され
結果の平等とは考えられていない
結果の平等を目指す社会は怠け者と手抜きの社会になり困ったものである
しかしまたチャンスの平等を目指す社会は弱肉強食のつらい社会になる
ある程度のチャンスの平等を制度化し(義務教育、教育の自由)
ある程度の弱肉強食を是認し(自由市場)
ある程度の結果の平等を制度化する(累進課税)
しかしその細かい配分の実態が問題になるわけで
原則論から各論に進むに連れて諸事情が絡みあい、
話は分かりにくくなる
分かりにくくなるので
考えることを放棄する
おまけに選挙では各項目に渡り、賛成反対を表明するわけではない
包括的に自民がいいとか民主がいいとか投票するだけで
実質、細かいところはおまかせになる
すると原則はこうだが個別事情により特例としてどうとかこうとか
附則とか細則とかで原則は骨抜きになる
整合的に骨抜きにして原則をゼロまで持っていくのが官吏である
格差を解消しようとする新興階層と
格差を固定しようとする既得権益層が対立する
しかしそうした対立を目立たなくし、意識させないようにするのも政治の機能である
ひとつは、現状で大した格差はなく、格差と本当の幸せとは関係がないなどと宣伝する
「我々はすでに幸せである」理論である
またひとつは「時間のトリック」で、社会はだんだん良くなっている、次の世代には格差のない住み良い社会が実現するなどと宣伝する
矛盾解消が次の世代で実現するなどというあたりは諸宗教のテクニックと同じである
30年後には廃炉が実現するというような話は30年したら当事者は無責任状態でありほとんど意味は無い
物質的な豊かさではなく心の豊かさの時代である
というのは深い意味でそうであるべきであるが
物質的な豊かさの及ばない人々の存在する格差社会での都合の良い宣伝文句でもある
またひとつは、本当の幸せは「敵との戦いに勝ったあとに訪れる」というもので
太平洋戦争でも東西冷戦時代にもよく使われた
これもまた本当の幸せは未来にあると慰撫する方策である