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村上 おたずねしてみたかったのですけれど、夫婦というのは一種の相互治療的な意味はあるのですか。
河合 ものすごくあると思います。だから苦しみも大変深いんじゃないでしょうか。夫婦が相手を理解しようと思ったら、理性だけで話し合うのではなくて、「井戸」を掘らないとだめなのです。
(中略)
ぼくもいま、ある原稿で夫婦のことを書いているのですが、愛しあっているふたりが結婚したら幸福になるという、そんなばかな話はない。そんなことを思って結婚するから憂うつになるんですね。なんのために結婚して夫婦になるのかといったら、苦しむために、「井戸掘り」をするためなんだ、というのがぼくの結論なのです。井戸掘りは大変なことです。だから、べつにしなくてもいいのじゃないかと思ったりもするんですよ。
村上 それはひとつの知恵ですね。
河合 ええ。自分は不幸だ不幸だと嘆いて、人に迷惑かけるぐらいだったら、離婚するのもひとつの方法ではないかと思います。
村上 何度も結婚する人がいますよね、3回も4回も。
河合 そういうのは大抵、井戸掘りを拒否しているんですね。井戸を掘るのはしんどいから、掘らないであちこち別の人を探しているけれど、結局、同じような人を相手にしていますよ。
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河合隼雄の語る夫婦というもの – mmpoloの日記
河合隼雄×村上春樹『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(新潮文庫)