“動的解析をやっていてもわかるのだが、
完全に整形な建物(モデル)というのは、
地震動にモロに感応してしまって、ブンブン揺れるのだけれど、
多少歪んでいたりすると、挙動が多方向に逃げてしまって、
若干、変形が小さくなる。
(専門的にはもう少しこまかい条件が付きますけど)
この「挙動を逃がしてしまう」というのが、
何を隠そう、伝統木構造の真骨頂なのだ。
残念なことに、
ほとんど大工のカンと経験に依存した手法なため、
いくつかは習慣として残っていたりするが、
資料としてはまったく存在しない。
大工が習慣的に、
胴差しなどの継ぎ手を左右対称としないことにはじまり、
日光東照宮の、「完全なものには魔物が取り憑く」として、
柱を1本上下逆さまに組んでいたりするのも、
だいぶ遠い話だけど、ルーツは近いと思う。”