説得力のある話
採録して紹介
どこの業界でもどこの会社でも、このようなことがたくさんあって、疲弊して行く
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♪レリゴ~(Let It Go)レリゴ~(Let It Go)♪ ありのままの自分を小出しにしているこのコラム。今回は“感情的”と感じる方もいるかもしれません。私の勉強不足・理解不足もあると思いますが、お付き合いください。
重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)。皆さんの施設でも導入されていることと思いますが、その必要度は院内で順調に、かつ円滑に機能し、そして何よりスタッフの理解は得られているでしょうか?当施設でも導入されていますが、答えは「否」です。今回は日々必要度の記録に追われているスタッフの目線で、必要度について感じていることを率直に書いていきます。
医者も巻き込んで必死の“点数稼ぎ”
そもそも看護必要度とは、看護を適正に評価し、必要なところに必要なだけの看護師を配置するための判断材料として導入されました(と、私は記憶・理解しています)。その人員配置とそれに見合った看護の提供具合を把握・評価するために細かな規定の項目に則った記録をするわけですが……。この記録がどんどん細かく、面倒なものになっていると感じています。記録がきちんとされていないと、「看護度が低い病棟」と判断され、スタッフの削減にも関わるため、管理者は躍起になって「必要度!」「必要度!」と言っています。
現場を見ていない人間がその病棟を客観的に判断する時には記録がすべてになるのは分かります。「記録がないのはやってないことと同じ」。同感です。ですから、必要度の記録は各勤務帯で確実に・細かく記録をするように私たちも指導します。必要度の記録の必要性については看護師の間にだいぶ浸透し、意識もしているせいか、それ自体はできるようにはなっています。
ですが、今年の4月からその記録量はさらに増え、記録に割く時間も、労力も増加しました。その結果、受け持ち看護師がベッドサイドに行く時間が減っています。そして、中には退院間近の患者に輸液ポンプを使って点滴投与するなど、点数を取るためだけの不要な(必ずしも必要ではない)看護(医療)行為を実施する事態にまで発展しているケースもあります。
別の総合病院のICUに勤める友人看護師に聞いてみたところ、その病院では、NIBP(非観血血圧)でも血圧管理ができる患者へのAラインの挿入、中心静脈カテーテル挿入患者の場合にはCVP(中心静脈圧)測定を指示されることもあるそうです。それらは師長と医長などの“トップ会談”による決定で、「納得できないまましぶしぶ協力している医者がほとんどだ」と言っていました。そうした“裏事情”を知らない看護師が「CVPの数値がおかしい」と一生懸命報告しても、医者が真剣に耳を貸さないのは、ある意味当然。医者は「看護必要度のA項目の点数を取るためだけにやるなんてくだらない」と思いながらオーダーを出しているので、数値に興味がないわけです。「頑張って記録している私たちのむなしさったら……」と友人は嘆いていました。
ベッドサイドに行くのが二の次に
もちろん、看護師個人の経験量・技量・経験年数・業務量・患者の重症度などによって、必要度の記録に割く時間も労力も変わるのは承知しています。ですが、管理者が必要度について何度も何度も繰り返しアナウンスすることで、「必要度の記録を最優先にやらなければ」と、ある種のプレッシャーにも似た意識を持たせ、それが悪い方向に出ています。そのプレッシャーが“記録優先意識”に拍車をかけ、結果、経験の浅い後輩たちは看護必要度の記録を何よりも優先し、ベッドサイドに行くのは二の次という事態になっているのです。「看護必要度の記録さえ書けばいい」という意識さえ感じるほどです。
私は看護必要度の記録が必ずしも無駄だとは思いません。各項目に沿って患者の現在の状態を細かく記録することで、今現在の詳しい患者の状態(看護をどれだけ必要としているか)がはっきり把握できるツールになり得ると思うからです。ですが、当施設の記録は「やった」「やらない」のみの記録で、そこから詳しい患者の状態を読み取ることはほぼ不可能です。記録内容が薄っぺらくて、「看護必要度が全然とれてない。これじゃ看護師数が減らされる!」(もちろん記録だけでなく患者の重症度も大きく関係しています)と師長は焦りをあらわにしています。だからこそ、点数を取るためだけの“不要な”看護(医療)行為をしているわけですが。
必要十分な看護師を配置し、患者ケアを充実させるためである「はず」の看護必要度。看護師数を維持するためにその記録に追われ、患者さんのところに行かないなんて本末転倒です。内容が薄っぺらい記録に時間を取られるより、意識障害の患者さんの手や足を洗ってあげるほうが重要です。というか、それが看護です。
看護必要度なんて、現場では何の役にも立ってない。何の意味も感じない。人数がいたって患者ケアが充実するわけでもない。給料が上がるわけでもない。患者さんのためになんてなってないよ。一体だれの、何のためのもの?