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加賀谷は、仕事になると手を抜くことなく、確実に笑いを取る。俺は、負けず嫌いな加賀谷の性格を信じすぎていた。
それでも、泣きながらロケ現場に来た日の夜には、危険を感じて「簡単なことはするな」とFAXを送った。自ら命を落とすほどつまらないことはない。
かくいう俺が、いつも死にたいと思っていたからすぐに嗅覚が働いた。かつての俺は、儚さへの憧れもあったのか、幕引きは自らの手でと、誤った願望を持っていた。FAXの最後に「俺もそれはしない」と書いたのは
自分に対する言い聞かせでもあった。
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— ハウス加賀谷 松本キック『統合失調症がやってきた』