単極性精神病性うつ病(PD)は双極性障害(BD)に転換するリスクが高いとされるが、その転換は治療選択に関わる重要な事項である。そこで、デンマーク・オールボー大学病院のSoren Dinesen Ostergaard氏らは、PDがBDに転換するリスク因子を明らかにするため、住民ベースのヒストリカル前向きコホート研究を行った。その結果、有意な因子として、PDの早期発症、うつ再発、独居、障害年金受給、最高レベルの専門教育、短期高等教育、中期高等教育などがあり、なかでも学歴の関与が大きいことが示唆されたことを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年11月12日号の掲載報告。
1995年1月1日~2007年12月31日に、ICD-10によりPDと診断されDanish Central Psychiatric Research Registerに登録された患者について、BD発症または死亡、あるいは追跡不能となるまで、もしくは2007年12月31日まで追跡した。さまざまなDanish registersで明らかにされている、BDへ転換する可能性が高いリスク因子に関して多重ロジスティック回帰分析を用いて検討し、補正後オッズ比(AOR)を求めた。
主な結果は以下のとおり。
・PD患者8,588例が特定され、そのうち609例(7.1%)が追跡期間中にBDを発症した。
・PDからBDへの転換と有意に関連していた因子は以下のとおりであった。
「PDの早期発症」AOR:0.99(/年齢増加)、p=0.044
「うつ再発」AOR:1.02(/エピソード)、p=0.036
「独居」AOR:1.29、p=0.007
「障害年金受給」AOR:1.55、p<0.001
「最高レベルの専門教育」AOR:1.55、p<0.001
「短期高等教育」AOR:2.65、p<0.001
「中期高等教育」AOR:1.75、p<0.001