統合失調症と双極性障害の類似と相違

当然昔から、相違が上げられてきた。
・感情と知性(これでは不充分だということがわかった)
・経過の違い(これも決め手にはなりにくい)
・病前性格(しかしこれも決め手にはならない)

類似としては
・興奮のあと、鎮静の時期があること
統合失調症では陽性症状、陰性症状と呼んだりするが論者によって違いがあり、現在普通に使っているのは、普通ならないものがあるという場合が陽性症状、普通ならあるはずのものがないのが陰性症状なのであるが、抑制がなくなると陽性症状が出るのだし、抑制が強すぎると陰性症状が出るとの観点から言えば、あるはずの抑制がないものが陽性症状、ないはずの抑制があるものが陰性症状ということも出来なくもない。言葉の遊びのようなもので、よろしくないと思う。
・遺伝関係で分離できない。
・症状の重なりを呈する患者がいる。

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たとえば興奮状態の時、統合失調症では被害的に興奮していて、躁状態では自我膨張的に興奮していると考えられのだが、実際にはそのように単純ではない。被害妄想の中身を聞いていくと、自分はCIAに狙われている、その理由は、自分は国連事務総長だからだ、と言ったりする。そこまで聞けば、充分に自我膨張的な事態であるとも言えるのではないか。最終的に怖がっているのか、尊大な態度で騒いでいるのかは違うのだけれども。

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個人的にまとめると、
共通点としては、興奮の後に鎮静が来ること。興奮状態の様々については、様々にあるというだけで、概略の明白な区別はできるのだが、微細な両方の要素を持つ例を観察するとやはり区別できないようなところもある。統合失調感情障害を立てて、分類項目とする考えはわかる。
相違点としては、統合失調症では、鎮静の後にレベルダウンがあること、双極性障害では、鎮静の後にレベルダウンがないこと。これは細胞が受けるダメージが可逆的か不可逆的かという点に集約されるだろう。

てんかんなどは、興奮のあとで、レベルダウンが生じるタイプである。だからこれだけでシゾフレニーの特徴を定義することも出来ないと思うのだが。

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神経細胞の受けるダメージが可逆的と不可逆的の違いだけなのではないかと疑っている。

従来診断で状態像に頼れば、当然不可逆的な双極性障害もあるし、可逆的な統合失調症もあるということになる。

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不可逆のダメージは、結局時間が経てば、脳の容積の減少、つまり萎縮ということに行き着くのだろうか。
現状では脳の萎縮がどうと議論してもたいして実りはないような気がするのだが。