“
その空軍大将も小野田牧場の牛肉は絶賛した。小野田さんはジャングル生活の影響で味覚が鋭くなっていた。
「生ものは食べません。刺し身やすしはどんなにうまいといわれても食べません。生水も飲みません。水道水でも生臭さを感じてしまうんです。煮沸したものは味が違いますから。肉もレアはだめです。(ルバング島では)牛を捕まえると干し肉や薫製にしました。生では2日しかもちませんから」
「30年ぶりに帰国してみると『日本の味』を忘れていることもあったと思いますが、日本の味も変わっているんですね。帰った季節もあってアユを食おうということになったんですが、塩焼きを食べてみたら、これが脂っぽい。養殖なんですな。こりゃダメだって。味覚神経はむしろ敏感になっていたんですね。若鶏の空揚げを食べてもプーンとぬかのにおいがする。エサなんでしょうね。日本で食べたいものがどんどんなくなっちゃった」
”