日本の自民党、あるいは自民党から分離してできた民主党を含めての自民・民主の体制、いずれも、政権内部で反対勢力が育ち、時の政権を打倒して権力を握る仕組みで権力を維持している。
その場合、日本憲法が想定しているのは、一般選挙による政権交代である。しかし実際の政権移譲は、一般選挙によらず、権力内部での権力闘争の結果である。
つまり、憲法にそって形式的には権力を維持する。そのうえで、内部で権力の簒奪が起こり、現実には政権交代が起こる。
憲法を無力化するこの仕組は巧妙であるし、ある麺から言えば、人間の知恵であろうが、実際には抜け道を行こうというずるさである。
日本で新政権ができた時、つまり細川政権と鳩山政権であるが、いずれも背後には小沢氏がいた。メンバーも主要な人々は自民党からの離脱組である。
自民党内で順番を待っているよりも効率がいいのではないかと思ったのだろう。
つまり、自民党が大きくなりすぎて、社会党が小さくなりすぎた。大きくなった自民党で順番を待つのは面白く無いと考えた人たちが飛び出した。
自民党内での派閥間での政権たらい回しを民主党と自民党の間のたらい回しに変えればいいじゃないかという話だろう。
民主党に政権が移動してから後は、鳩山から菅に政権が移行し、そこで実質的に反対勢力の権力簒奪が成功している。やはり同じ話になってしまっているのだ。民主党が行き詰まったら自民党にというのが憲法の想定であって、民主Aがダメだったら民主Bにというのはおかしいのである。
違うなら民主ABは同居するべきではないし、同じなら政権移譲するべきではない。
同じ仕組みは中国共産党でも見られる。一般民衆は関係ないらしいが、共産党内部での「一種の」手続きがあるのだろう。その辺りは単純な一般選挙による政権選択とは違う話で、何かもっと伝統的で東南アジア的な話なのかもしれない。