“例えば、1990年代まではそれなりに報道されていた過労死や過労自殺の問題がほとんど報道されなくなり、むしろ最近のバラエティ番組の多くが(いわゆる「ブラック企業」を多く含む)企業の宣伝番組と化していることが示しているように、テレビは世論形成に対する影響力を強めているにも関わらず、業界としての力が弱体化しているというジレンマがある。つまり、テレビ業界が自らの影響力を自覚したとしても、それをコントロールしていく能力を現実にはほとんど持ち合わせておらず、むしろその影響力を利用しようとする企業家や在野の評論家・ジャーナリストたちの草刈り場となっている状態なのである。”