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実は、三洋時代に当時の収入の倍ほどの給与で韓国のサムスンから誘われたことがある。だが、断った。「サラリーマンを辞めて、またサラリーマンにはなりたくなくて」
少なからぬ友人、知人が韓国へ渡った。韓国メーカーの対日情報収集、勧誘活動の拠点は日本にある「研究所」。そこから自宅や携帯に、ときには職場にまで堂々とスカウトの電話やメールが飛び込んでくる。
契約は通常2~3年。韓国に3週間滞在し、1週間の休みで帰国、といった生活パターンが多い。最初の契約期間で容赦なくふるいにかけられ、能力が不十分と見なされれば契約更新はない。
「韓国や中国の競争力は、ほとんどが日本の技術者からの流出。(焼き畑農業的に引き抜きを続けたことで)めぼしい日本の技術者がいなくなった今は、中韓にとってもピンチなんです。このままでは彼らの技術力もがた落ち」。雨堤は、そんなふうに現状を分析する。
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