“かつてあんなに勉強が苦手だったのに、私はいますごく勉強好きで、勉強するのが楽しくてたまらない。だから娘に「どうやったら勉強が好きになるの?」と言われても「時が来たら」としか答えようがない。発見していく楽しみというのを知ったのだ。何かに夢中になっていると、ある出来事とある事柄の組み合わせから「ああそうか!」という目から鱗の瞬間がやってくる。それが面白いんだと思う。でも、それを知らない人に教えてあげることができない。人生においてほんとうにすばらしい体験は絶対に他人から教えられることができない。だって、すばらしい体験とは「自分がする」という条件づきだからだ。だから教えることはなにもない。教えてあげたいのだが、教えればどんどん遠くなる。突き放したほうがいいくらいだ。”