プロ野球の解説でいう「流れ」はコンテクストのこと

プロ野球の解説でいう「流れ」はコンテクストのこと

プロ野球の解説者がしばしば「試合の流れ」という言葉を使い
あまり意味のない言葉だろうと思っていたのだが
そうでもないのかなと思うことがあった

精神療法の領域でもコンテクスト重視とかの話は出る
簡単にいえば同じ言葉、同じ行動でも、状況によって意味が違うという、当然のことを言っている

イメージとして分かりやすいのは
コンピュータで右クリックすると、その状況にあわせたメニューが出る
そのような状況、局面である

もちろん、コンテクストと言う言葉で考えないとしても、
状況や局面に依存して人間の行動や言葉や思考は変化するのだから
考慮するのは当たり前である

当たり前のことを一年中言っていて、それで野球解説者になるのかなというのが問題だ
しかし、ピッチャーが次にどんなボールを投げるか、
バッターがどんな球を狙うか、進塁打のゴロを打つか、右狙いするのか、四球を選ぶことが意味のある攻撃なのか
そのそれぞれに今どんな局面なのかが大きく影響する

一点がほしいのか大量点がほしいのか
ピッチャーを交代させたいのか
それによってストライク・ゾーンを広げて積極的に打ちに行くのか、
バントを決めてぶれっシャーをかけるのか、考えることになる

年間200本安打が目標となれば、こうした状況依存性もだいぶ様子が違って、
今どんな状況だから安打の確率を高めるにはどう対応すればいいかが決まってくる
勝つための状況判断とは違うものになるかもしれない

三振よりはヒットがよくて、ホームランはもっといいという単純な判断だけでは済まない要素があり、
それがコンテクストであり、それを「流れ」と呼んでいるのではないか。

そして流れは受動的なものばかりでもなくて
能動的に流れをつかむこともできる
それが試合の全体に影響する

いつもは打てないはずなのになぜあの場面で打てたのかと考えると
技術的な解説以上に
流れに乗っていたとしか言いようがない場合があるのだろう