http://tobacco-control-research-net.jp/data/document/anti_smoke_std_rev4.pdf
禁煙を成功させるためのポイントがいくつかあります。
第一に禁煙宣言です。
第二のポイントは「3」です。
3日目、3週間目、3ヵ月目、そして3年目――。このタイミングはニコチン中毒の禁断症状が強くなる時期です。3日目の症状としては動悸と発汗があり、苦しみを感じます。3週間目になると、たばこを吸って頭が「ボーッ」とする感覚が恋しくなり、喫煙所の近くから離れられなくなります。なかには、夜中、知らないうちにたばこの自動販売機の前に立っていたという患者さんもいました。
3ヵ月目は手と口の喫煙行動癖が出てしまう時期です。気が付くと指と唇が反応しています。3年目は感覚器官が邪魔をする時期です。たばこの香り、たばこを吸うしぐさ、これらの反応は遅くまで残ります。最終的にたばこのにおいを嫌うことができるのは3年後です。
したがって、禁煙治療の開始から3年が過ぎるまでは成功とはいえません。特にアルコールが入ると、感覚器官が昔を思い出すため、飲酒時に喫煙するという、いわゆる機会喫煙者となりがちです。
第四のアドバイスはアルコールの機会を避けることです。しかし、社会人であれば、接待や同僚、上司との付き合いなど、どうしてもアルコールの機会はついてくるものです。そして、先に述べたように、アルコールが入るとタバコは恋しくなるものです。
第五のアドバイスは、なるべく多くの人に手伝ってもらうことです。会社の机に張り紙をしておくことも有力な手段です。会社の同僚に宣言書を配布しておくことも良いでしょう。また、同僚と一緒に禁煙を開始したり、禁煙外来に誘ったりすることも効果的です。
最後のアドバイスは、禁煙成功までの報酬です。3日目、3週間目、3ヵ月目、そして3年目に自分自身へプレゼントを準備しておくのです。友人と禁煙をしている場合は、食事にいったり、新しいゴルフクラブを購入したり、3年目には海外旅行にいったりするのも良いでしょう。3年が長いと感じる場合は1年目、2年目にも温泉旅行を導入してみましょう。必ず「禁煙1年目旅行」とか「禁煙2年目旅行」といった名目を付け、禁煙をがんばった自分へのご褒美、とすることがポイントです。この報酬についても、家族や会社の同僚に宣言しておけばより効果的です。「報酬宣言書」として書いて残しておくことをお勧めします。
禁煙することで、喫煙に使ってた時間が空くため、時間が長く感じるようになり、時に、魔が差してしまいます。この魔に惑わされないようにしなければ、禁煙への道は開かれません。その為に、禁煙に変わる「良いもの」として、報酬が重要な役割を果たします。医師から「がんばりましょう」といわれるだけでは、禁煙の過程で味わうのは単なる苦しみだけです。