パワハラ 厚労省、初の定義

同僚のいじめはパワハラ 厚労省、初の定義
 職場のいじめ対策について検討している厚生労働省の円卓会議のワーキンググループ(作業部会)は30日、上司からのいじめだけでなく、同僚や部下からのいじめや嫌がらせも「職場のパワーハラスメント(パワハラ)」と定義すべきだとした報告書をまとめた。
 パワハラについて報告書は、地位だけでなく、ITなど専門知識や人間関係などの職場内の優位性を背景に「業務の適正範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為」と定義した。政府がパワハラの定義を打ち出したのは初めて。
 労働局に寄せられた職場のいじめ・嫌がらせに関する相談件数は2002年度の約6600件から、10年度には約4万件に急増。厚労省は来年度、パワハラの実態調査を実施するなどして取り組みを強化する方針だ。
 厚労省は職場でのいじめ・嫌がらせ相談の急増を受け、昨年7月に有識者らが参加する円卓会議を設置。報告書は、パワハラの類型として(1)暴行など身体的な攻撃(2)脅迫など精神的な攻撃(3)無視や仲間外れ(4)多すぎる仕事をさせるなど過大な要求(5)仕事をさせないなど過小な要求(6)プライベートに立ち入ること―の六つを挙げた。
 円卓会議の作業部会は、企業の聞き取りや訴訟事例の検討などを実施。この結果、無視を続けるなど同僚からのいじめや、IT知識が豊富な若手社員が上司に嫌がらせをするなどの事例が多いことが判明したため、パワハラの定義を幅広くすべきだとした。
 ただ仕事の内容がパワハラに当たるかどうかは職場によって異なる場合もあり、各職場で話し合い、認識を共有すべきだとした。
 対応策として、労使協定などにパワハラ予防の規定を盛り込むことや、社内研修などが有効だとした。円卓会議はこの報告書を踏まえ、3月末をめどに最終的な提言をまとめる予定だ。