あなたの魅力について語らず自分の涙について語る習慣

たとえば、あなたに恋焦がれていて、夜も眠れず、
食事も喉を通らず、毎日泣いて暮らしておりますという場合、
「あなた」についての性質は何も分からない。
この、泣いている人の性質はある程度分かる感じがする。
和歌の世界は圧倒的にこんな感じだ。

和歌の世界の人は
人をそのように泣かせるなんてどんなに素晴らしい人なのか
エピソードを詳細に語るという習慣がない

そこはやはりフィクションだし
本当に好きなら行動すればいいわけだし
フィクションで言い合うぶんには
対象についての詳細な情報など
あまり必要ないのだろうと思う
最大限魅力的な異性を想定せよというだけなのだろう。

あるいは「あなた」が誰であるのか、そしてどのように魅力的であるのか、については、
宮廷社会のスターがいたのでそれで充分だったのかもしれない。