重要な対人関係を分析
それを変えられない葛藤の内容を分析
そのあとで解決策
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マズローの欲求の段階で概略を言うと
生理的欲求、安全の欲求、帰属の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求というように
ピラミッド型に構成されているわけです
現代日本では
生理的欲求、安全の欲求くらいはまずまず満たされている場合が多い。
帰属の欲求や自我の欲求、さらに自己実現の欲求のレベルでは
内容は様々であるとしても、他者との関係が問題になることが多いと思う
帰属の欲求は要するに他者との関係である
まれに、抽象的に、自分は何に属するのかを考えている人もあるだろうが、
現実には他者との関係となる
自我の欲求については
他人から尊敬されたいとか、人の注目を得たいという欲求で尊厳の欲求ともいわれる。名声や地位を求める出世欲もこの欲求の一つ
と説明されていて
あからさまに他者との関係である
自己実現については
各人が自分の世界観や人生観に基づいて自分の信じる目標に向かって自分を高めていこうとする欲求のことで、潜在的な自分の可能性の探求や自己啓発、創造性へのチャレンジなどを含む。
いや、むしろ、そのような他者評価にうんざりしたあげくにたどりつく境地なのであるが
誰にも知られずひっそりと自己実現していれば
それでとてもすばらしいのだけれど
人間はなかなかそのようにはできないようだ
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このように考えてみると
現代社会で欲求を実現するも妨害されるも他者が関わっている
対人関係が第一に大きな要素であることが分かる
対人関係の基本は「嫌いで遠ざかりたい」と「好きで近づきたい」の二つに集約される
特に支障がなければこの二つが実現されて
幸せな状態になる
しかし現実社会ではさまざまな制約があり
嫌いで遠ざかりたい人と一緒にいなければならないし
好きで近づきたい人と離れていなければならない
そこに葛藤が生じる
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上司が嫌いで遠ざかりたいのだけれども
仕事は替わりたくない
夫婦関係でもう別れたいのだけれども
別れたら暮らしていけない
担任教師がいやなのだけれども
転校したら友達と離れてしまう
つまり 「対人関係の悩み→葛藤で行き止まり」 のパターンが多い
行き止まりで精神を消耗してうつになったりすることが多い
また逆に、本人には葛藤があることを承知していて、簡単には離れられないから、
嫌われていても平気で、同じ態度を続けることもあるのだろう
そうでなければ、会社には誰もいなくなってしまう
妻が不満を言うと、誰の給料で食べて行かれるんだとか
妻子のために働いているのだから我慢しろとか言われて
それでたいていおしまいになる
嫌われているから訂正しなくてはとは思わずに
本人の逃れられない状況を見越して
そのまま続けるのだ
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嫌いな人から遠ざかりたいと思うのは当然のことなのでそうすればいいのだけれど
諸事情でそれができない場合、どうしたらよいかということになる
そのような魔法のようなことはできないわけで
難しい
簡単に捨てられないから葛藤なのである
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上司が嫌だから仕事を辞められる人はどれだけいるだろう
夫が嫌いだから離婚できる人はどれだけいるだろう
子供が嫌いだから離れられる人はどれだけいるだろう
そう考えると
嫌いな人とも仲良くやっていく工夫はないかと言うことになる
たいていはここでコミニュケーション改善を持ち出す
お互いをよく知り合えば状況も変わるだろうという考えだと思うが
それは現在の秩序を維持したいという勢力の考えそうなことだろうなとも思う
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なぜその人が嫌いかということで言えば
Rational Emotive Behavior Therapyなどが参考になるかもしれない
reason 理性 が先にあってemotion 情動があとに発生するというわけで
情動の基礎となる状況や情報を共有しその上で共通の理性を働かせれば理解し合うようになるだろうという話である
確かに、基本情報の違いが大きかったりすると
最後の結論にも差が出るし、情動反
応にも差が出るだろう
というわけで、よく話し合ってみて下さいというのだけれど、
嫌いは嫌いという人間の生理をよく説明していないと思う
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人の悩みは出来事そのものではなく出来事の受け取り方によって生み出されるものであり、受け取り方を変えれば悩みはなくなるというのが基本的なスタンスである、というわけであるが。それで悩みがなくなるなら、いいもんだと思う。
イラショナル・ビリーフ
Irrational Beliefは「非合理的な信念」と訳される。「失敗してはならない」「すべての人に愛されなければならない」「世の中は公正でなければならない」などという思いを持っていると、それらが満たされなかったときに悩むことになる。イラショナル・ビリーフは以下のような特徴がある。
- 事実に基づいていない
- 論理的必然性がない
- 気持ちを惨めにさせる
- 自己否定的・悲観的な内容である
イラショナル・ビリーフは願望(~ねばならない、~であって欲しい)と事実を混同することから起こっている。このような混同を論理的に否定し、ラショナル・ビリーフ(合理的信条)へと変えてゆくのが論理療法の役割である(「文章記述を書き換える」という表現をする)。ラショナルビリーフは
- 事実に基づいている
- 論理性がある
- 人生を幸福にする
ラショナル・ビリーフの例は「失敗しないほうがいいが人間だから失敗することもある。失敗から学ぶべきである」「人に愛される・愛されないとは関係なしに具体的になにかをするべきである。その結果人が愛してくれればありがたいし、愛されなくとももともとである」などである。
端的に言ってしまえば、「~ねばらならない(must)」ではなく、よりマイルドであると言われる「~であるにこしたことはない(should)」という文章記述の書き換えである。
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「嫌いな人がいるのにその人から遠ざかることができない理由がある」
この一文で集約できる状況を生きている人は多いように思う
我慢するしかない
我慢しないともっと悪いことが待っているからだ