自民党の若手勉強会「文化芸術懇話会」の発言をめぐり、党から厳重注意処分を受けた大西英男衆院議員は30日、国会内で記者団に対し「(発言に)問題があったとは思えないが、慰安婦問題などで社会的制裁を受けない朝日新聞などを懲らしめる方法について質問しただけ」などと説明した。記者団とのやりとりの全文は以下の通り。
◇
「みなさんにお話ししておきますけど、常にマスコミはつまみ食いするんだよ。都合のいいところだけ編集して、まったく本人の意図と違うような報道の仕方っていうのが極めて多いんだよ。まず、最初に申し上げるけど、私は一言も『政治家や党が財界に圧力をかけて、マスコミを懲らしめろ』ってことは言っていない。それが今、そういう報道をされているでしょう。そんなことはない。私が言わんとしたことは、政治家や政党が言論の自由を抑圧するようなことを言ってはいけないということを、はっきり言っているんだよ。あの中で。しかし、百田尚樹先生が講師だから、こういったマスコミの一部、例えば朝日新聞の、ここ朝日新聞の人いるか?
慰安婦問題の捏造(ねつぞう)記事。あれが世界をめぐって、日本の名誉や信頼がどれだけ傷つけられたか分からない。あるいは今の安全保障法制について、まったく事実無根の『戦争に導く』あるいは『徴兵制』。まったく関係ないじゃないか。日本が戦争に巻き込まれないための抑止力を高めようとしているのに、そう報道している一部マスコミがある。こういうことを懲らしめないといけないんじゃないかと。マスコミのやりたい放題じゃないかと。そういうことで何かいいお知恵はありませんかと百田先生にお尋ねした。何か問題ある? そして『何か問題がある?』というところだけ、どこかのテレビは報道しかねないから、私はあえて言わないですけどね。そういうことですよ。真意は」
--大西氏の口から「広告料をなくしたほうがいい」という趣旨の規制について発言はしたのか。
「自由主義世界で、資本主義社会で、広告料をなくすなんてことができるの? 広告を出す企業は、自らの信念と良識に基づいて、選択をしなさいというのが私の気持ちですよ。日本の国を過てるような、そういった誤った報道をするマスコミに対して私は広告なんかは自粛すべきじゃないかな、とは個人的には思いますよ。だけど政治家として政治権力を使うとか、政党の力でそういうことをやるというのは民主主義の根底を揺るがすことですよ。言論の自由や表現の自由というのは民主主義の根幹ですよ」
--与党議員がそういう発言をすることでメディア規制につながる懸念はないのか
「それは今の安保法制に対する論議と同じ。まったくそんな考えはない、ないんですよ。そんなことが今の日本国憲法の中でできるんですか。マスコミ規制とか、表現の自由を規制するなんてことができるわけないでしょ。ましてや日本国憲法を変えようといったら、国民の支持が得られるはずないでしょ。そんな道なんかわれわれはまったく考えていない。自由民主党ですから。自由な言論、民主的な政治制度、それによって、国民の幸せを追求していこうというのが、わが自由民主党ですから。そんなマスコミ規制をするとか、言論を弾圧するなんてことは、絶対にあり得ないことですよ」
--木原稔前青年局長が更迭され、大西氏を含め3人は厳重注意処分を受けた。この結果はどう考えるか。
「今、安保法制、日本の将来にとって大事な法律が審議されています。この安保法制にまったく関係のない、党内の私的な有志の集まりの勉強会での発言については、事実無根の発言、表明すらされている。野党は、それを党利党略に使っているということは事実ですよ。しかし、われわれがここでそれを主張しても、野党の堅い石頭には通じないでしょう。私どもは自ら退くことは退いて、安倍晋三首相や多くの関係者が心血を注いでこの問題にあたっているんですよ。そういう方にご迷惑をかけないように、それぞれが責任をとったということですよ」