"あの頃、部活動で一区切りの目標を達成し、
軽い虚脱感があった
君と僕は大人ではなかったけれど
恋を語るには充分に成熟していた
しかしお互いに恋については何も語らず
表面的な、勉強の話だけしていたのだった
当時は交換日記というものをしている恋人たちもいたのだが
私達はそのような進みゆきにはならなかった
憧れはあっても自分が恋に値するとも思っていなかった
もう一度繰り返したとしても
たぶん私達は友達のままで終わるのが良いと
思うに違いないだろう
淡い思いである
現代のようにあからさまな世の中になってみると
淡い思い、抑制された情熱というものは、貴重に感じられる
なんでも出来たがなにもしなかったことが
むしろ私の人生を肯定してくれるのである
そのようにして人生で一度きりの思春期前半が過ぎていった"