東京株式市場が堅調です。図1は日経平均株価の日足チャートですが、15年ぶりの高値更新で2万円近辺の推移となっています。 この上昇相場を牽引しているのは、(2)で後述する公的マネーと外国人投資家です。逆にずっと売り越しているのが個人投資家です。図2は、東京証券取引所が発表する投資主体別売買動向(個人)です。年初の下落局面こそ、新年度(2015年度枠)入りした少額投資非課税制度(NISA)の買いなどで買い越しましたが、1月の下旬以降はずっと売り越しとなっていることがお分かりいただけます。 日経平均株価

東京株式市場が堅調です。図1は日経平均株価の日足チャートですが、15年ぶりの高値更新で2万円近辺の推移となっています。 
この上昇相場を牽引しているのは、(2)で後述する公的マネーと外国人投資家です。逆にずっと売り越しているのが個人投資家です。図2は、東京証券取引所が発表する投資主体別売買動向(個人)です。年初の下落局面こそ、新年度(2015年度枠)入りした少額投資非課税制度(NISA)の買いなどで買い越しましたが、1月の下旬以降はずっと売り越しとなっていることがお分かりいただけます。 
日経平均株価は、年初から大きく値上がりしていますが、大多数の個人投資家は「押し目待ちに押し目なし」の相場展開であるため、利食い先行の売り越しで上手く上昇相場に乗れてない状況のようです。
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現在、東京株式市場には、株式市場を大きく動かすことの出来る「5頭のクジラ」がいると言われています。これは、いわゆる公的マネーです。 
昨年から活発に動いているのは、世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。株式の組入れ目標が25%となったために積極的に株式投資を増やしています。また、今年の秋にGPIFへの運用一元化を控えている地方公務員共済組合など3つの共済年金も、GPIFのコバンザメのように株式投資に積極的です。
今後これに続きそうなのが、かんぽ生命保険とゆうちょ銀行です。今秋の株式上場を計画しており、運用収益を高めるために国債に偏重した運用を株式投資に少し移す計画があるとの報道もあります。
そして忘れてはならないのは、年間3兆円のETF(上場投信)を購入する日本銀行です。 
それでは、「5頭のクジラ」の来年度の想定買い余力を、各種報道資料から推定してみましょう。 
GPIFは、資産規模が約137兆円で、来年度に5.2%日本株の比率をUPさせると想定すると、137兆円×5.2%=7.1兆円。
3共済は、資産規模が約30兆円で、 来年度に10%日本株の比率をUPさせると想定すると、30兆円×10%=3兆円。
日銀は、毎年3兆円のETF購入が発表されているので、3兆円。
かんぽ生命、ゆうちょ銀行は、組入れ目標が発表されていないので、想定は非常に難しいのですが、例えば来年度にGPIFの組入れ目標25%の1割の2.5%日本株比率をUPさせると想定すると、 
かんぽ生命は、資産規模が約83兆円なので、 83兆円×2.5%=2.1兆円
ゆうちょ銀行は、資産規模が約205兆円なので、205兆円×2.5%=5.1兆円 
合計で20.3兆円の買い余力と想定できます。組入れ目標が明らかなGPIF、3共済、日銀だけでも、13.1兆円の買い余力があります。
図3は、これら5頭のクジラの来年度想定買い余力のグラフです。 
3月12日付けの日本経済新聞では、5頭のクジラの想定買い余力が合計で27.2兆円と推定した表が掲載されていました。 
株価が上がれば、日本株比率は購入しなくても高まり、円高になっても外貨資産の目減りで日本株比率は向上するなど不確定要素が多いので、あくまで想定にすぎませんが、最低でも来年度は10兆円以上の日本株の買い余力があると考えても良さそうです。