ひととおり徒然草に接してみて、
兼好さんは、安定している、奇抜なことは却下、仲間内の平均をうまく提示する、
激しい感情はない、自分だけの思いつきに固執しない、というような印象
エネルギーレベルは高くない
理想を強く語ることもない
古典を得意に語ることもしない
ひとりよがりなところがない
宗教も軽くいなしている
出家しろというのは、何かの宗教がいいというのではなくて、世俗のしがらみを捨てろという意味らしい
そもそも徒然草は誰が読んだものなのだろう
兼好は誰に読ませるために書いたのだろう
出家しろと書いているし、まじめに働けとは書いていないので、
不労所得で生きている貴族たちのためのものなのだろう
武士は読者対象ではないようだ
女性についても、そもそも兼好は、文字が読めるような女性には興味がないように思われる
短期間に一気に書いたものではなくて、長年書きためたものなのだろう。
政治も戦も我がことではない
紅旗征戎は我が事にあらず、その点では藤原定家と同じであるが
定家のように和歌の家を継いだわけではないから、
芸術に生きるというわけでもない
ずっと自由なのだろう
思弁の上に思弁を重ねるような、インド哲学のようなことをしない
それは仏教経典でうんざりしていたのだろう
また漢文の教養を見せることもない、それもまたうんざりしていたのだろう
実際に見たり聞いたりしたことでちょっとだけ面白くて、自分で考えても十分に分かる程度の平易なことを書いている
貴族の子どもたちのために書かれたものかもしれない
大人用の話としてはバカバカしいものも多い
時代は武士が命を軽く扱い、僧とはいえ実際には暴力のための人員であり、
火災はあり、文化財は簡単に破壊され、
疫病はあり、安心して、軽いことを言っていられる雰囲気ではなかっただろう
加持祈祷したって効くものではない
そんな中で、枕草子みたいな軽いタッチで16歳位の男の子用に書いてみましたというあたりなのかな
枕草子は女子用だから