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要人を警護するSPは、意外にも、外国のあまり治安のよくない場所を初めて夜ひとりで歩くとき、人並みに恐怖を感じるそうです。でも、任務に従事しているときは、「矢でも鉄砲でも持って来い」と気構えることができます。
母親も、子供を危機から守ろうとする“いざという時”には、とんでもない力を出すことがあると言いますよね。
誰かのために、という意識が働いたとき、人のエネルギーは上がり、パフォーマンスが向上します。であれば、自分のストレスが高いときほど、「誰か俺のことを認めろよ!」と悪態をついたり、逆に黙りこんだりするのではなく、思い切って周りの人の存在を承認する側に回ってみる。
そうする方が、実は自分のストレスの解消につながるのです。もちろん、承認を受けた相手のストレスも減り、エネルギーが高まります。これがうまく循環すれば、職場全体のエネルギーが高まり、風が吹き始めるわけです。
先日、私がコーチをしている部長さんから聞いた話です。ものすごく忙しい時期があり、彼は完全に手一杯の状態でした。プロジェクトが思うように進まず、苛立ちが全身に走る。「たぶんものすごく怖い顔をしてたと思いますよ」と、彼は振り返ります。
そんなとき、1人の部下が憔悴した顔で、彼のところにやってきたそうです。部下は部下で作業がはかどらず、期限を1日延ばして欲しいと言う。
「普通なら、『何やってるんだ!』って怒鳴るんですけどね。彼の顔を見たら感じたんですよ。『こいつも疲れている。忙しいのは俺だけじゃない』って。そしたら、思わず口に出たんです。『田中、いつも遅くまで仕事してくれて、助かってるぞ。もうひと踏ん張り、がんばってくれよ』。怒られると思ってたんでしょうね。彼、ものすごく驚いた顔をしてましたけど、『はい、がんばります!』って。自分もなんかすーっと苛立ちが引いていって。ああ、人を認めるとストレスが下がるというのはこういうことかと、よく分かりました」
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