一度体験したら、もうこれなしでは済ませられないものの一つが温水洗浄便座だろう。あの爽快感、きれいになったという実感は素晴らしい。内閣府の調査によると、いまや4軒に3軒が設置している。しかし、何事もやり過ぎは危険だ。『週刊朝日』(4月10日号)が<ストレス招くお尻さっぱりの罠(わな)>と警告している。  温水洗浄便座をかなり愛用しているという週刊朝日の記者は、あるときお尻がムズがゆくなり、切れたような痛みもあり、肛門(こうもん)内科を標榜(ひょうぼう)するくらた医院を訪ねた。すると、倉田正院長からハッキ

 一度体験したら、もうこれなしでは済ませられないものの一つが温水洗浄便座だろう。あの爽快感、きれいになったという実感は素晴らしい。内閣府の調査によると、いまや4軒に3軒が設置している。しかし、何事もやり過ぎは危険だ。『週刊朝日』(4月10日号)が<ストレス招くお尻さっぱりの罠(わな)>と警告している。
 温水洗浄便座をかなり愛用しているという週刊朝日の記者は、あるときお尻がムズがゆくなり、切れたような痛みもあり、肛門(こうもん)内科を標榜(ひょうぼう)するくらた医院を訪ねた。すると、倉田正院長からハッキリとこう言われてしまった。
 「強い水圧で肛門を洗い続けていたら、いくらなんでも皮膚組織が悲鳴を上げてしまいますよ。患者さんを診察する中でも、温水洗浄によりかゆみや痛みを起こす人の割合は、年々増えています」
 その原因のほとんどは「使い方」を正しく知らないことにあるようだ。東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏は、こう話す。「肛門を含め、人間の皮膚には皮膚を雑菌から守る皮膚常在菌がいて、肌を雑菌に強いpH5.4~5.7に保っています。しかし肛門に何度も温水を当てる、強い水圧で当て続けるなどすると、この菌まで洗い流し、皮膚がpH7以上の中性になる。剝(む)き出しになった中性の皮膚には、雑菌が入り込みやすくなり、肛門が炎症を起こしてしまいます」
 では、正しい温水洗浄便座の使い方をアドバイスしてもらおう。「(被害を防ぐため)水圧を“やわらかモード”などに弱め、お尻に長時間当てないよう伝えています。(かゆみや痛みなどの)症状を起こす人は水圧が“強”だったり、長時間お尻に当てすぎたりしていることがほとんどなのです」(くらた医院)
 メーカーでつくる温水洗浄便座工業会事務局は「当会では『人肌くらいの温度で、10~20秒間くらい』を推奨しています」という。
 尻切れ、尻ぬぐい、尻に敷く、尻抜け……お尻はあまりいいイメージがないのだが、もっと優しく付き合ってやらなければいけないのだ。日本が誇る温水洗浄便座を「うまく使って“潤い”のある生活を送りたい」ものだ。

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いいことひとつあれば、悪いことひとつあり。
平安時代などはどうしていたのだろうか。
猫も犬も健康状態ではお尻のケアなんかしない。