衰へたる末の世とはいへど、なほ、九重(ここのえ)の神さびたる有様こそ、世づかず、めでたきものなれ。 朝廷の権威が衰えた末法の武士の世とは言っても、今なお、幾重もの門に囲まれた宮中の神々しい様子は素晴らしいものである。 ーーー いろいろ賛美している。兼好の寄って立つ基盤なのだろう。 しかし賛美の中身としては、ありがたいとか、重々しくて好ましいとか、 めったにないとか、昔から変わらないとか、大して根拠はない

衰へたる末の世とはいへど、なほ、九重(ここのえ)の神さびたる有様こそ、世づかず、めでたきものなれ。
朝廷の権威が衰えた末法の武士の世とは言っても、今なお、幾重もの門に囲まれた宮中の神々しい様子は素晴らしいものである。
ーーー
いろいろ賛美している。兼好の寄って立つ基盤なのだろう。
しかし賛美の中身としては、ありがたいとか、重々しくて好ましいとか、
めったにないとか、昔から変わらないとか、大して根拠はない

朝廷の権威を保持するために
下々の者がどれだけ税金に苦しんだのかとかちっとも思わないらしい
むしろ風流を理解しない、彼にとっては半分獣のような存在なのかもしれない
実際に読み書きもできなかっただろうし、生活も農家はまだまだ未開状態だったのだろう

兼好は夏の暑さをしのぐ家が大事と言っているが
庶民にとっては、やはり冬が大事で、寒いと死んでしまうだろう