都市生活者の憧れのタワーマンションは、ベイエリアなら中層階でも60平米で5000万円は下らないといわれる。だが、ここにきてその売れ行きが急速に鈍ってきているのである。  不動産業者はこう語る。  「そもそも作りすぎ。デベロッパーはマンションを建てなければ売り上げが上がらないから当然建てる。利益率が高い方が良いので、タワーマンションが増えるという構図ですが、その結果ベイエリアを筆頭に供給過多になっているのです」  実際、ネットで検索してみると、新築で「即入居可」という物件は多数ある。ただ、その中には5

 都市生活者の憧れのタワーマンションは、ベイエリアなら中層階でも60平米で5000万円は下らないといわれる。だが、ここにきてその売れ行きが急速に鈍ってきているのである。
 不動産業者はこう語る。
 「そもそも作りすぎ。デベロッパーはマンションを建てなければ売り上げが上がらないから当然建てる。利益率が高い方が良いので、タワーマンションが増えるという構図ですが、その結果ベイエリアを筆頭に供給過多になっているのです」
 実際、ネットで検索してみると、新築で「即入居可」という物件は多数ある。ただ、その中には5年以上も前に竣工したような古いタワーマンションがズラリと紛れ込んでいるのだ。
 「三井不動産なんかは投資家筋の上客もたくさん抱えているので、建てても売れる。だが、販売力が弱いデベロッパーは厳しい。売れるメドがなく、それでも建てるので“マゾ”と呼ばれている業者もあるくらいなのです」(同)
 もっとも、そんな苦境を救ってきたのがアジアマネー。近年では中国、台湾、シンガポールの投資家たちがこれらを買い漁っていた。ところが、最近はそんな最後の砦からも見捨てられるタワーマンションが増殖中。「中国人が買った物件は値が下がる」との理由から、売れ残りが増えているのだ。
 陰りが見え始めたこのタワーマンション群は、今後いったいどうなるのか?
 「入居者が集まらないし、投資家が離れて空き部屋が増えると、維持管理が難しくなる。タワーマンションのエレベーターの交換費用は1基1億円以上だが、修繕費を払わない者も増えるでしょうし、20~30年後にはエレベーターも交換できない状況に陥る可能性も高いのです」(同)
 将来、ベイエリアはゴーストタウンと化すのかも。