貧困層に「経済的徴兵制」?
国民の知らないところでどんどん進んでます。生きる為に戦場に行くという国に日本もしようかという動きが出てきてます。なぜ日本は給付型奨学金制度導入を渋るのか、高利なローンで若者を苦しめるのか、どうして格差社会を広げる労働規制緩和を拡げるのか。そこに経済的徴兵制を視野に入れてることは否定できません。私も大学4年間、勤労奨学金で働きながら大学にいき学費を稼ぎました。もし大学学費のローンが500万あって、非正規雇用で返済もできずローンが膨れあがって生きづまり、アメリカのように軍隊に入れば全額免除すると言われたら、どうするか。貧しきものが生きる為に戦場にいく。そんな国にしてはならないと強く思います。
文科省は先月末、大学生らの経済支援に関する報告書をまとめた。有識者会議メンバーの一人はその検討過程で卒業後に就職できず、奨学金の返還に苦しむ人たちについて「防衛省でインターンシップ(就業体験)をさせたらどうか」と発言した。若年貧困層を兵士の道に追い立てるのは「経済的徴兵制」ではないのか。
発言の主は、文科省の有識者会議「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」メンバーの前原金一・経済同友会専務理事。住友生命の常務取締役などを務めた人物だ。
奨学金返済が話題にのぼった5月の検討会で、前原氏は「返済の遅延者が無職なのか教えてほしい。放っておいても良い就職はできない。防衛省などに頼み、一年か二年かインターンシップをやってもらえば就職は良くなる。防衛省は考えてもいいと言っている」と促した。
米国では実際、軍に入隊すれば国防総省が奨学金の返済額を肩代わりする制度があるという。
藤本一美・専修大名誉教授(政治学)は、米国の現状について、「米軍は志願兵制を取るが、貧困層の若者が兵士になる例が非常に多い」と解説する。
米政府が奨学金返済を肩代わりにするのは兵士の確保のためだが、格差社会が進む米国では、この制度に頼らざるを得ない貧困層が多い。結果的に兵士の多くを貧困層が占めている。貧困層にとっては、兵士以外の選択を奪われた「経済的徴兵制」なのだ。
三浦まり・上智大教授(政治学)は「米国の場合は、防衛の仕事は貧困層に押し付けるあしき構図が定着してしまったのが大きな問題」と指摘した上で、冒頭の前原氏のような発想を批判する。
「そもそも何かと引き換えに大学で学ぶ機会を与えるという考え方が間違い。若者たちは一人一人、自分の能力を引き出すための学習権がある。学生の経済支援を考えるなら、この権利を安心して行使できるよう大学教育の無償化という方向で考えるべきだ」