お金で泣かない老後 「夫婦で9000万円」どう工面
最強の対策は健康で長く働くこと
たいきち 2013年の日本人の平均寿命は男性が80.21歳と、初めて80歳を超えました。女性は86.61歳で2年連続で世界一です。老後のお金を考える際によく使うのは、ある年齢の人が平均してその後何年生きるかを表す「平均余命」です。60歳時点では男性23.14年、女性28.47年となっています。少なくともこれぐらいの長さは想定しておきたいですね。
りこ 男性は83歳、女性は88歳まで生きるということね。
たいきち 社会保険労務士の森本幸人さんに、60歳の夫と2つ年下の妻がこの年齢まで生きると仮定して必要なお金を試算してもらいました。まずは生活費です。総務省の家計調査では高齢夫婦の無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)で月約27万円になります。夫が83歳で亡くなるまでの23年間で約7450万円、残された妻1人分の生活費をそれまでの7割として、88歳で亡くなるまでの7年間は約1600万円、合わせて約9050万円です。
とうしろう 我が家の場合は利子が3つ年下だから、もう少し増えるわけか。90歳や100歳まで生きると考えるなら、もっとお金が必要になるだろう?
たいきち その通りです。しかも、ゆとりあるセカンドライフを送るには、月に約35万円が必要とのデータもあります。夫婦で旅行やレジャーを楽しみながら余裕のある老後を送りたいなら、さらにお金が必要なわけです。
りこ でも老後は年金があるし、丸々この金額を用意する必要はないのよね。
たいきち 公的年金の受取額は夫が会社員、妻が専業主婦という厚生労働省のモデル世帯でみれば、夫婦で現在月約23万円です。夫が65歳からもらい始め、夫の死後は妻が遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の4分の3)をもらうと、夫婦の年金総額は約6000万円です。老齢基礎年金だけの自営業の人などはこれより少なくなります。
りこ すると、差し引きで3000万円ほど足りないというわけね。
にいさ もしパパが要介護になったら、さらにお金がかかるんじゃないの?
たいきち 介護が必要になったり、病気になったりすれば別途お金がかかります。ちなみに生命保険文化センターの調査では介護の自己負担額は、用具の購入など一時的なもので平均91万円、月々の費用で7.7万円となっています。期間は平均4年9カ月にも上るので、経済的な負担は大きいです。万が一に備えて退職金などは蓄えておきたいですね。家の改修が必要になったり、車を買い替えたりすれば支出はそれだけ増えます。