「お金がないと人のためになれないのか?」  そんな風に考えると少し落ち込んでしまいますが、お金がなくても人のためにできることのヒントが仏教にあります。  今日は、地位や財産がない人でも、いつでもかんたんにできる布施の行「無財の七施」を紹介します。

「お金がないと人のためになれないのか?」
 そんな風に考えると少し落ち込んでしまいますが、お金がなくても人のためにできることのヒントが仏教にあります。
 今日は、地位や財産がない人でも、いつでもかんたんにできる布施の行「無財の七施」を紹介します。
 
1.眼施
 人に話しかけたら「なんだよっ!」と険しい目つきをされてしまったことはありませんか?悪気がなくても、とても傷ついてしまうものです。
 いつでも優しい眼差しでいることは、まわりの人をホッと安心させます。
 それだけで、愛情を伝えることができるのです。
 「目は口ほどに物をいう」。
 眉間のシワをのばして、いつも優しいタレ目でいましょう。
 
2.和顔施
 疲れていたり余裕がなくなったりすると、私たちはブスーッとした気むずかしい表情になってしまいます。そういうポーカーフェイスな人はなんだか話しかけにくいし、まわりにも緊張感を与えてしまっているのです。
 いつでも口元にかすかなスマイルを。そして、顔には慈しみを。
 そうしているだけで、まわりの空間が明るくなります。みんなが嬉しくなります。世のため、人のためになっています。
 
3.言辞施
 言葉には力があります。
 思いやりのある優しい言葉は、いつまでも心に残って人生の支えとなります。
 一方で、トゲトゲしくそっけない言葉は、時に人を傷つけてしまうのです。
 世の中には、心ない言葉があふれています。
 そんな中でも、慎重に選ばれた優しい言葉は人の耳に届き、救いとなります。たとえ口数が少なく、声が小さかったとしても。
 いつでも優しい言葉を。
 
4.身施
 人のために、自分の体を使って奉仕をする。それが身施です。
 お金がなくても、頭や体を動かせば、人のためになることができます。
 得意なこと、好きなこと、自信のあること、気持ちのこもったこと。きっと、自分にもできることがある。
 そうした態度や愛情は、時にお金を送るだけよりも、人のためになることがあります。
5.心施
 「愛情の反対は、無関心である」有名なマザーテレサの言葉です。
 人間は、この世の中で誰か一人からでも「私はちゃんと、気にかけてもらっている」と思えれば、自信をもって生きていけるもの。
 それはどんな最悪な出来事がおきても、最後のセーフティネットになるのです。
 心を配っていると伝えよう。
 いつでも、気にかけていると伝えよう。
 それだけで、とても力強い人の支えになります。
 
6.床座施
 これは「席を作って座らせること、自分の席を人に譲ること」です。
 狭い意味でいえば、電車やバスで人に席を譲ること。
 広い意味でいえば、地位やチャンス、順番などを優しい気持ちで用意してあげることです。
 あなたはすべてを自分で囲い込んではいませんか?
 自分のためだけに忙しく生きてはいませんか?
 時にスローダウンしてまわりを見渡せば、自分の思いやりに気がつく。自分にできることがあると気がつく。
 
7.房舎施
 雨風を防げる暖かく快適な場所を提供してあげること。
 この時代、家がなくて困っている人はないかもしれませんが、家の中が散らかりやゴミでメチャクチャな人はいます。そういった場所をキレイにし、心に秩序が保てるようにしてあげるのも、房舎施の一種になるかもしれません。
 
あなたの「在り方」が、世界のプレゼントになる
 これらの施しはお金がかからない。あげてもあげても、あなたの手元からは何かがなくなることはない。ケチる必要がない。無料で、大盤振る舞いできる。
 いつも、優しい眼差し、優しい顔、優しい言葉でいるというだけで、世の中とまわりの人のためになる。
 自分の「在り方」が、世の中へのプレゼントになる。