採録
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最初にA子を見つけたのは、午後8時過ぎのことで、彼女はひとりでセンター街を歩いていた。時折、似たような風貌の女の子に親しげに話し掛けたりしていたが、いつもこの街で会う知り合いで、特に友人というわけでもないとのことだった。
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最初にA子を見つけたのは、午後8時過ぎのことで、彼女はひとりでセンター街を歩いていた。時折、似たような風貌の女の子に親しげに話し掛けたりしていたが、いつもこの街で会う知り合いで、特に友人というわけでもないとのことだった。
私は、彼女に少し話を聞いたあと、しばらくほかの場所の取材をした。そして深夜にセンター街に戻ってきたとき、彼女は冒頭のようにいったのである。
「泊まるところ決めてないの?」
聞くと、いつもそうだという。毎晩、そろそろ眠りたいと思うと、泊めてくれる相手を探すのだそうだ。どういったところに泊めてもらうのかを聞くと、曖昧に言葉を濁す。渋谷周辺にそう多く友人が住んでいるとは思えず、電車もない時間だから、タクシーを使っての移動には金がかかる。
「ひょっとして、援助交際してホテルに泊まるとかなの?」
私は聞いてみた。
「最初は女友達に頼むよ。だめだったら、エンコーすることもある。でも、お金をもらわないときもあるよ。エッチつきで泊めてくれる友達もいるし」
あっけらかんとそういいながら、彼女は、アドレス帳の中のめぼしい相手に何通かメールを送っている。
実は私は、今回の取材に、30代の女性を同伴していた。未成年の少女たちに話を聞くとあって、中年の男ひとりで取材したのでは、おかしなトラブルに発展してもいけないと思ったからだ。
「泊めてもらうためだけに、知らない人とエッチして、厭じゃないの?」
同行者が、A子にそう聞いたが、彼女は不思議そうな顔をしているだけだった。このような反応は、今回の取材で、多くの少女たちに共通していた。性に対しての禁忌のハードルが、恐ろしく低いのだ。
自称19歳のフリーターB子は複数の男性との乱交の経験があるといったし、17歳の私立高校生C子は今、クラミジアに感染していると笑いながらいった。付き合っている彼氏がいるから、援助交際はしたくないというD子(18=自称・フリーター)も、
「普段はエンコーは絶対しないけど、携帯代が払えなくなったときにはする」
といった。
彼女らにとって、携帯電話は、単なる通信ツール以上の意味を持っている。「携帯がないと生きていけない」(A子)、「お金がなくても平気だけど、携帯代が払えなくなると焦る」(B子)、「携帯がない時代があったなんて信じられない。みんなどうやって生活してたんだろう」(C子)などと口を揃えるし、携帯電話を維持するためには、かなりの裏技も駆使しているようだ。
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若者の心理世界はどうなっているのか
ますます拡散しているように思う